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[PR-10-3] 下大静脈フィルターの功罪―当院における回収可能型下大静脈フィルター留置例の検討
Keywords:vena cava filter, inferior vena cava
【目的】下大静脈フィルター(IVCF)を留置した症例の留置後の経過について検討した。【対象と方法】2008年以降下大静脈フィルターを留置した102例(男性38例,女性64例;11-86(平均64)歳)。IVCF留置の適応は,中枢型で浮遊性の深部静脈血栓症,肺塞栓症合併末梢深部静脈血栓症,高リスク群の周術期肺塞栓予防である。【結果】使用したIVCFは全例Optional filterでGunther49例,OptEase20例,ALN33例であった。1例(Gunther)に性腺静脈誤留置,1例(ALN)に留置時変形を認めたため,再度留置し直し成功している。IVCF抜去は39例に試行し,38例で抜去可能であった(38/39,97.4%)。回収したIVCFの平均留置期間は7-42(中央値19)日であった。留置期間中肺動脈血栓塞栓症を来した症例は無かった。7例(7/38,18.4%)で抜去したIVCFに血栓が付着していた。IVCF未抜去は64例(抜去不成功1例含む)で,その理由は悪性腫瘍合併,他院転院が多かった。そのうち画像での経過観察が可能であった42例(観察期間30-1856(中央値592)日)では,4例(4/42,9.5%)にIVCFに血栓付着を認めた。2例(2/42,4.8%)にIVCF末梢の著明な血栓増大を認めた。また1例(1/42,2.4%)で肺動脈血栓塞栓症を認めた。【結語】IVCFは肺動脈血栓塞栓症の予防に有用であるが,長期留置例にはIVCFに捕捉された血栓などによる深部静脈血栓の出現のリスクが存在するため,深部静脈血栓の消失や器質化後には速やかにIVCFを抜去することが推奨される。