第55回日本脈管学会総会

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会長要望演題

大動脈解離に対するステントグラフト治療2

Thu. Oct 30, 2014 5:00 PM - 5:40 PM 第2会場 (アイシアター)

座長: 川口聡(慶應義塾大学医学部 外科・心臓血管外科)

5:00 PM - 5:40 PM

[PR-5-1] 当院における急性B型大動脈解離に対するステントグラフト内挿術の検討

池谷佑樹, 荻野秀光, 野口権一郎, 片山郁雄, 田中正史 (湘南鎌倉総合病院 大動脈センター)

Keywords:acute aortic dissection, stent graft

【背景】企業製造デバイスが承認されステントグラフトは大動脈治療の一端を担っている。急速な普及に伴って,その低侵襲性が相まって外傷など動脈瘤以外の大動脈疾患に対する有益性が報告されている。欧米では大動脈解離に対する適応が承認され有効であるとの報告も多い。当院における急性B型大動脈解離に対するステントグラフト内挿術を文献的考察をふまえて検討し若干の症例を提示する。【方法】2006年6月-2014年6月の胸部ステントグラフト内挿術166例のうち,急性B型大動脈解離に施行した21例を検討。エントリー閉鎖目的のステントグラフト内挿術を施行。Uncomplicatedに対しては,発症時最大大動脈径4cm以上かつ偽腔開存の症例に施行。Uncomplicated9例,Complicated12例(破裂4,切迫破裂3,腎動脈灌流障害5,上腸間膜動脈灌流障害1,腹腔動脈灌流障害2)。CTで最大大動脈径部分の真腔径・偽腔径を計測,解離形態推移および血管径について評価。【結果】周術期死亡1例。周術期合併症は対麻痺1例。偽腔血栓閉塞率93%。大動脈径・偽腔径は術後1か月で有意差をもって縮小。真腔径は有意差をもって拡大。【考察】Complicatedはすでに外科手術に対しての有益性が報告され,当検討からもそれを示唆。Uncomplicatedは保存加療の成績が良好であることから議論の余地があるが,当検討によれば周術期死亡・合併症なく早期からの良好なリモデリングから,急性期におけるエントリー閉鎖で遠隔期瘤関連合併症を減少させる可能性がある。【結語】Uncomplicated,Complicatedともに急性B型大動脈解離に対するステントグラフトによるエントリー閉鎖は有用であることが示唆された。さらなる症例の蓄積が必要である。