手術ビデオ

[1A5V] 巨大尿道憩室に対するMartius flap併用尿道憩室切除術の工夫

○中川 智絵^1,2、岡田 義之^1,2、安田 想^1,3、黒川 一平^1,3、重田 美和¹、野村 由紀子^1,2、嘉村 康邦^1,3 (1. 昭和大学横浜市北部病院　女性骨盤底センター、2. 昭和大学横浜市北部病院　産婦人科、3. 昭和大学横浜市北部病院　泌尿器科)

Keywords:尿道憩室、動脈皮弁、経腟手術

【緒言】巨大尿道憩室（Urethral Diverticulum、以下UD）の手術は，尿道周囲を広範囲に剥離するため術後の再発が懸念され、手術方法に工夫が必要である。我々は脆弱化した尿道壁を補強する目的でMartius flap法を併用している。巨大UDの多くは、憩室が尿道背側にも及ぶことが多くMartius flapのfat padの置き方にも工夫が必要である。巨大UDに対するMartius flap併用UD切除術を、その工夫も含めて報告する。 【症例】52歳、1妊1産。強い陰部痛と排尿時痛を主訴に受診した。前腟壁に軽度の膨隆を認め、骨盤単純MRIで中部尿道を全周性に囲む巨大UDを認めた。手術方法は、経腟的に前腟壁を逆U字切開し、尿道憩室壁を同定し切開した。可及的に憩室壁を切除し、憩室口を結紮した。左大陰唇を縦切開しfat padを用意し、二股に分けるように切開した。血管テープを尿道背側に通し、一方の断端に二股の一方を結紮し、結紮してない方の血管テープを牽引し尿道背側にfat padを充填した。尿道腹側は襟巻状に縫合し、尿道を全周性にfat padで補強した。手術時間は4時間12分、出血量は120mlであった。 【考察】憩室口は尿道腹側に存在することが多いが、巨大UDでは可及的に憩室壁を切除することで尿道背側の組織も菲薄化し脆弱となりうる。その部分が新たな憩室口となって再発することを防ぐ目的で、全周性にfat padを置く方法を施行した。 【結論】巨大UDに対する憩室切除術の際はMartius flapを併用し、fat padを脆弱な尿道周囲に全周性に覆うことで憩室再発を防ぐ可能性がある。