第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演41群 周術期の看護①

Sat. Sep 28, 2024 4:30 PM - 5:30 PM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:中村 裕美

[口演41-3] 周術期看護に関する職場内教育の知識獲得に向けて

シミュレーション教による体験型学習会の効果

石塚 典子 (浜松市リハビリテーション病院)

【背景】 A病棟は、整形外科の周術期看護役割を担っている。整形外科医の退職により、手術件数が2021年度年間平均288件から2022年度は129件に減少した。これにより、周術期看護の経験が少ない配属後3ヶ月以内の看護師から周術期患者へのインシデントが頻発した。また、手術最盛期を経験している看護師の88%が、異動や退職などでA病棟を離れていた。そのため、周術期看護の経験が浅い看護師が異動者に教育するため、的確な指導が行えていない現状がある。【目的】 安全な周術期看護を提供するため、シミュレーションによる体験型学習会を計画、実践、評価することで、職場内教育の知識獲得と看護実践能力の向上に繋げる。【実践内容・方法】1.計画1)周術期に関する確認テストを実施し個々の知識度の現状把握2)確認テストの結果より指導項目を抽出しシナリオ作成2.実践1)1.2年目と異動者の14名に対し週末のカンファレンスの時間内でシナリオを用いたシミュレーション学習会を実施2)シナリオ実施毎に患者体験後の意見や、看護師役の技術や対応に関するフィードバックを実施3.評価1)学習会前と学習会終了後に確認テストを行い、知識獲得状況の把握と、アンケートによる満足度を確認2)学習会2ヶ月後に確認テストを行い、知識定着度の把握と、アンケートによる臨床での成果を確認4.倫理的配慮 A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号23-67) 対象者には個人が特定されないように匿名化することと情報の管理について、また学術集会で症例報告として発表することを説明することで同意を得たものとした【結果】 3段階で設定した確認テストの平均点は、学習会前が30.7点に対し、学習会直後が91.5点、学習会終了2ヶ月後が90.9点であり、周術期看護の理解が確認できた。アンケート結果より「痛いと言われれば鎮痛薬を第一選択していたが疼痛緩和のスキルが身についた」「指導根拠が学べた」「患者家族に質問されないか不安であった」等の意見があった。【考察】 確認テストとアンケート結果から、周術期に関する知識不足がインシデントの誘発要因であることが明確になった。また、受け持つ機会が少ない周術期の患者教育に対し、過去に起こった身近な事例をシナリオ化することで学習者の関心が増し、学習意欲の向上や注意喚起にも繋がったと考える。そして体験型の学習が紙面教育とは違い、学びの気付きや印象付けになり知識の定着化に効果的であると考える。またアンケートより、知識獲得ができたことで患者家族へ的確な指導や対応が行えるようになり、自信とやりがいにも発展できた。【実践への示唆】 今後は、周術期に関する習得度の低い看護師には、確認テストの苦手項目を把握し個別指導を行い、知識獲得した看護師を指導者として育成し、周術期看護に関する職場内教育の質向上を図っていく。