第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演41群 周術期の看護①

Sat. Sep 28, 2024 4:30 PM - 5:30 PM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:中村 裕美

[口演41-5] 手術室看護師の看護実践に対する想い

武田 真菜1, 中山 栄純2, 船山 絵利子1 (1.海老名総合病院, 2.北里大学看護学部)

【緒言】手術看護は、閉鎖的な空間で行われているため第三者からは見えにくく、患者の反応も分かり辛い。さらに、手術室看護師には、手術に関連する専門的な知識・技術が求められ、技術重視となってしまう側面があり、看護が分かりにくいと感じやすい傾向がある。そこで、実際に手術室で働く看護師が、日々どのような想いで看護を実践しているのか明らかにしたいと考えた。【目的】手術室看護師の看護実践における想いを明らかにし、やりがい支援や教育に役立てる【方法】総合病院手術室勤務看護師を対象に看護実践で大切にしている事について質問紙調査を実施し、自由記述で回答を得た。調査に協力が得られた看護師は24名、有効回答率は100%であった。質問紙に記載された項目は原文のまま抽出後、似た内容でカテゴリー分けし名前付けした。倫理的配慮として、研究実施に関して倫理委員会の承認を得た。質問紙は今後のインタビュー調査にも協力を得られる者のみ記名式とし、質問紙の提出をもって研究同意とした。研究参加の有無、内容が一切の不利益にならないことを文書にて説明した。【結果】手術室看護師の大切にしている事は、「全ての患者に共通する看護」、「患者・家族の反応に応じて行う看護」、「意識のない患者の術後を見据えて行う看護」の3つのカテゴリーに分類された。「全ての患者に共通する看護」は、<患者視点に立った関わり>、<個別性のある看護実践>、<安全を守る>、<看護の質の向上>、<思い入れを抱く>、<環境を整える>の6つが挙がった。「患者・家族の反応に応じて行う看護」は、<手術環境により不安・刺激が増強しない為の介入>、<手術時の限られた時間での信頼関係の構築>、<不安を抱えつつも手術を乗り越えられるような関わり>、<手術を待つ(隔絶された)家族への看護>の4つが挙がった。「意識のない患者の術後を見据えて行う看護」は、<手術が円滑に進むための介入>、<手術以外の侵襲を与えない為の介入>、<意識のない患者の代弁者としての関わり>の3つが挙がった。【考察】手術看護は病棟看護とは性質の異なる部分もあるが、手術に関する要素には関係なく基本的な看護に対する想いは共通していることが示唆された。そのうえで、手術に向かう患者や家族の反応を大切にしながら、手術で意識のない患者に対しての想いをも大切に日々の看護実践に取り組んでいる実態が明らかになった。【結論】手術室看護師の想いを調査し3つに集約出来る事が明らかになった。言語化された手術室看護師の想いを実践指導で活用し、手術看護を具体化していく事で、やりがい支援や看護観の形成に繋がっていくと考えられた。本研究の限界として、質問紙調査のため全ての想いや詳細な内容が表出されていないため今後はより詳細なインタビュー調査を継続していく予定である。