第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演46群 疾病を持ち生活する人への支援②

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:竹熊 千晶

[口演46-3] 勤労男性の職業ストレスと更年期症状の実態

田中 友梨子, 窪井 明日香 (山口労災病院)

【緒言】A市における2020年の生産年齢人口割合は、全国平均65.8%と比較して53.8%と低い。勤労者の健康を守り、労働者人口を維持していくことが重要な課題である。更年期症状が原因で離職を経験した男性は11万人に上るとされ、更年期症状が原因で雇用劣化が起きたと認識した男性の割合は、20.5%で女性15.3%に比べ5ポイント高い(周燕飛,2021)。そこで、勤労男性を対象に更年期症状および生活環境について調査を行った。【目的】勤労男性の更年期症状の有無と程度および勤労への影響を明らかにし、勤労男性の支援方法の示唆を得る。【方法】B病院で健康診断を受けた35歳から69歳の勤労男性212名を調査対象とした。健康診断の受付時に研究者が対象者に対して,文書で研究の趣旨を説明したのち,無記名自記式質問紙を配布した。記入・投函された質問紙は,研究責任者が回収した。調査内容は、生活習慣や労働等に関する質問紙とAging Male’s Symptoms score(以下AMSスコア)」を用いて、男性の更年期障害について調査した。AMSスコアは17項目からなる自己記入式質問紙で、心理的因子、身体的因子、性機能因子の3つの下位因子から構成されている。スコア化した点数を年代別に分け、クラスカル・ウォリス検定を用いて比較した。解析ソフトはSPSS 27.0(IBM,USA)を用い,統計学的有意水準は5%未満とした。本研究はB病院の倫理審査委員会の承認を受けた(承認番号:Yro-ri-2023-10)。【結果】回収率(有効解答率)は100%(65.6%)であった。有効回答139名の解析を行った。勤労男性において更年期症状を有する割合は53.2%であった。「AMSスコア年代別」では、30代男性の有症割合が一番低かった。40代では重度の割合、50代では中等度の割合が一番高かった。60代では有症割合が一番高かった。また、男性の更年期症状について「知らない」と答えたのは19名(13.6%)、「言葉は知っている」と答えたのは56名(40.2%)であった。【考察】テストステロンの分泌量は20代がピークで、その後緩やかに減少するが、減少の度合いには個人差がある。そのため、30代より更年期症状の有症者がみられ、仕事・家庭でのストレスを抱えやすい40代は重症の割合が一番高かったと考える。女性の更年期障害は比較的認識されやすく診断や治療が確立している。男性の場合は、加齢による身体機能の衰えなのか更年期症状なのか区別がつきづらい。そのため周囲に誤解を招くこともある。症状の中には、精神的な症状や性機能に関する症状など、人には言いにくいデリケートなものがある。周囲の理解が不十分なままだと、体調が悪くても仕事などを休めない、医療機関を受診しづらいという状況が続いてしまう。情報提供の場を設け、男性更年期症状の認知度を高めることが必要であると考える。【結論】 更年期症状を有する男性が多くいることが明らかになった。さらに、認知度が低いことも明らかになった。