第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演49群 看護提供体制

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:三輪 ゆかり

[口演49-3] リリーフ体制の構築

病棟と外来の一元化を目指して

蟹澤 晴美 (伊那中央病院)

【背景】A病院Bセンターは、病棟と外来の機能がある。病棟は一般病床経験があれば業務に従事できる。一方、外来は救急患者を受け入れる緊張感と高度なスキルを必要とすることから、対応人員が限られ配置に苦慮している。現在、外来を担うことができるスタッフは3割しかいない。そこで病棟スタッフも外来業務の対応を可能にするため遅番勤務を取り入れた。しかし、スタッフはBセンターを一単位として捉えておらず、緊急時に一時的なリリーフ体制はあるものの協力体制が十分でなかった。そこで、遅番勤務経験者が病棟から外来へ1日リリーフ要員(以下リリーフ)として勤務する体制の構築に取り組んだ。【目的】病棟と外来の一元化を見据えたリリーフ体制の構築を図る【実践内容・方法】202X年9月から遅番勤務経験者10名をリリーフとした。リリーフの期間は開始から1か月とし、順次交代する仕組みを作った。また、リリーフは1日日勤外来勤務とした。先ずは、師長補佐からリリーフに入り管理の視点で外来経験がなくても担うことができる業務を抽出した。外来スタッフをリーダー、リリーフをメンバーとし、抽出した業務を外来スタッフがリリーフに指導した。次に、多忙な業務の中、確認したいことがあってもリーダーに声を掛けにくい状況があったため、物品場所等業務内容を確認する時間を設定した。倫理的配慮として、対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について、また、学術集会で実践報告することを口頭で説明し、同意を得た。【結果】リリーフ10名のうち4名が1日日勤外来業務を経験することができた。抽出された業務はカルテ記載であった。取り組み前は、リーダーのみがカルテ記載を行っていたが、メンバーが実施した業務内容を直接カルテに記載できるようになった。また、業務内容を確認する時間は60分程度とることができ、リリーフからは「今まで不安に感じていたことが確認できてよかった」との声が聞かれた。【考察】1日日勤のリリーフ体制は、外来の業務内容を理解するきっかけとなり、抽出したリーダー業務の一部であるカルテ記載を担ったことで、リーダーの業務負担軽減につながったと考える。また、リリーフとしての回数の増加は、スタッフ間でのコミュニケーション向上、そこから業務が円滑にまわり、安心安全な看護の提供、患者サービス向上に繋がっていくのではないかと考える。スタッフが個々に持っているスキルを十分に発揮しながら切磋琢磨できる環境を提供することが管理者の役割である。今後リリーフではなく病棟と外来の一元化を目指している。病棟と外来の一元化を視野に入れ勤務することをスタッフに伝え続けていく必要がある。【実践への示唆】リリーフ体制の構築により、役割の理解が深まり、病棟と外来一元化の検討に繋げることができる。