第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

口演

口演50群 意思決定支援

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第6会場 (大会議室A4)

座長:飯山 有紀

[口演50-3] A病院の患者を対象としたACPに対する調査

塩田 幸江, 山田 麻里子, 垰谷 京, 長尾 佳子 (山口労災病院)

【緒言】A県の高齢化率は全国平均より高く、早い時期から人生最終段階に望む医療やケアを他者に伝えることは、非常に重要であると考える。そこで、A病院B病棟の入院患者および外来化学療法室の患者を対象にACPに関する調査を行った。【目的】B病棟および外来化学療法来院患者を対象にACPに関する考え方について調査する。 【方法】対象者:B病棟入院中および外来化学療法患者調査方法:ACPに関する無記名自記式質問用紙を作成した。ACPの表記は「人生会議」とした。分析方法:無記名自記式質問用紙の結果をもとに単純集計を行った。倫理的配慮:A病院看護部研究倫理委員会の承認を得て実施した。(承認番号:23-03)【結果】 1.研究対象者の属性無記名自記式質問用紙を209名に配布し、193名から回答が得られた。(回収率92.3%)内訳は、がん患者116名、非がん患者77名であった。 2.無記名自記式質問用紙の調査結果報告 「人生会議」を知っていたのは、がん患者・非がん患者合わせて4名であった。人生最終段階に望む医療やケアについて「すでに話し合っている」と答えた人は、がん患者が16名、非がん患者が6名、「話し合う機会を希望している」と答えた人は、がん患者が63名、非がん患者が33名であった。話し合いの対象は家族が多かったが、がん患者は医療介護従事者と答えた人もいた。また、がん・非がん患者共に受けたくない医療は、「身体に苦痛を感じる医療」であった。生き続けることが大変と感じる理由については、がん患者は自己の身体にかかわる切実な理由が多かったが、非がん患者は他人事のような解答が多く、双方に違いが感じられた。「必要な医療やケアを受けてできるだけ長く生きたい」と思っている人は、がん患者が非がん患者の2倍以上であった。事前に意思を伝えておきたいかについては、がん・非がん患者共に7割の人が「すでに伝えている」「伝えておきたい」と思っており、「人生会議」については、双方とも6割以上が普及して欲しいと答えた。 【考察】私たちはACPに関して今までがん患者に注目しがちであったが、非がん患者の思いも同様であることがわかった。今回ACPを広めて欲しい人が、がん・非がん患者共に6割以上いたことは予想外であり、ACPの重要性を再認識した。また、疾患にかかわらず、どんな最期を迎えたいかを家族で話し合う機会をもつことが理想であるが、家族がいない人にとっては、医療者がその役割を担うこともあるということを心得ておかなければならない。その人に合った最適な医療・ケアが行われるように、ACPが当たり前になる社会を目指して活動することが私たちの責務であると考える。【結論】1.ACPを知っている人は,全体の約2%と低かったが、普及してほしいと思う人は6割以上いた。2.話し合う機会を希望する人は、がん患者と非がん患者に差がなかったことから、疾患に関わらずACPを多くの人に広め理解を得ることが重要である。