第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演53群 せん妄への対応②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:吉岡 睦世

[口演53-2] 急性期B内科病棟でのせん妄発症予防とケア

峯 紅, 近藤 昭栄, 髙田 幸恵 (天理よろづ相談所病院)

【緒言】せん妄予防ケアには、「夜間の睡眠の確保」「認知機能低下への介入」「早期離床への取り組み」「本人・家族へのせん妄に関する情報提供」が必要といわれている。A病院急性期B内科病棟では、これらせん妄予防ケアの実践を目指し、看護師に対して勉強会を実施し、ハイリスク患者の非薬物的対策一覧、薬物対策アルゴリズムを作成した。その後のせん妄予防ケア実践について調査した。【目的】 A病院B病棟看護師のせん妄予防ケア実践の内容を明らかにする【方法】 A病院B病棟看護師19名を対象に、自作の質問紙による実態調査を行った。せん妄予防に必要とされる「夜間の睡眠の確保」「認知機能低下への介入」「早期離床への取り組み」「本人・家族へのせん妄に関する情報提供」の4項目について4段階で回答を求め、具体的なケアの内容を自由記述とした。分析は、4段階回答を単純集計し、自由記述はカテゴリ化した。本研究への参加は自由意志であり、参加拒否により不利益は生じないこと、個人が特定されないこと、発表を予定していることを説明書に示し、アンケートの提出をもって同意とした。発表に際しA病院看護部倫理委員会の承認を得た。(承認番号:2023-006)【結果】 16名より回答を得た。「夜間の睡眠の確保」では≪身体的苦痛の緩和≫≪概日リズム≫≪眠剤の服用・調整≫≪排泄ケア≫、「認知機能低下への介入」では≪概日リズム≫≪意図的コミュニケーション≫≪見当識を維持できる介入≫≪早期離床≫≪不安や困りごとの傾聴≫、「早期離床への取り組み」では≪理学療法士・作業療法士との連携≫≪離床の弊害要因除去≫≪患者‐スタッフ間の目標設定≫≪セルフケア能力の拡大≫のカテゴリが抽出された。また家族へのせん妄に関する情報提供ができていないことが明らかとなった。【考察】 せん妄予防ケア内容は、先行研究のせん妄ケア実践能力や高齢者せん妄のケア内容をほぼ網羅できていた。せん妄予防ケアの原則は、リスク因子の除去・軽減といわれており、入院・治療の開始時点から発症リスクをアセスメントし、要因を取り除くことが重要である。せん妄を発症すると、安全を守る目的で可動制限をせざるを得ないことがある。カテゴリに示されたケアを集約すると、「動けるからだを維持するケア」や「患者が十分寝た感覚を取り戻すケア」「患者の意欲を引き出すかかわり」であると思われた。これらケアの実践、充実が重要な課題であると考える。面会禁止により対面で家族に説明する機会が少ないことが情報提供の不足に影響していると考える。【結論】急性期内科病棟看護師のせん妄予防ケアの実践内容は、以下の通りである。1.患者が十分寝た感覚を取り戻すケアとして提供する2.患者の意欲を引き出す関わり3.動ける体を維持するケア 一病棟の調査結果であることが研究の限界であり、せん妄予防ケアの充実、患者・家族への情報提供強化が今後の課題である。