第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演57群 療養環境の整備

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:岩部 仁

[口演57-4] 効率的な個室病床管理に向けた仕組みの構築

尾﨑 弘美, 川口 なぎさ (大阪市立総合医療センター)

【背景】A病院の有料個室(以下個室とする)を使用する患者は、①患者が個室を希望する場合と、②主治医が個室管理を必要と判断する場合の2パターンがある。限られた個室数であるため、②の患者が増加すると、①の患者が利用できず、度々、問題となっている。また、②の患者は室料差額が免除であるため経営上の問題もあり、医師たちへ再三、適正利用への協力依頼をしていたが減少しなかった。202X年3月までの、②の申請方法は、「有料個室室料差額減免届」の書類に主治医、病棟師長が必要事項を記入し医事課に提出する仕組みであり、看護部副部長は絡んでいなかった。202X年4月~202X年3月の集計では、申請数1199件、延べ使用日数4372日、個室1室当たり約95日が②の理由で使用されていた。さらに減免金額もかなり高額であった。【目的】限られた個室を効率的に運用する病床管理の仕組みを構築し、主治医判断での個室使用件数、期間が適正化し個室希望をする患者が個室を利用することができる。【実践内容・方法】効率的な個室病床管理ができる仕組みを、医事課と看護部で検討した。まず、院内システムエンジニアが作成した「個室差額室料減免届」ツールに、②の理由で利用した患者の病名、理由、期間を病棟師長が入力する。次に、担当の看護部副部長が承認し申請する。内容は、毎月、科別・病棟別で集計し、医師へは診療部長会で看護副部長へはメールで配信するという仕組みである。この方法を202X年4月より導入した。倫理的配慮として個室利用した患者の個人情報は、個人が特定されないよう取扱に留意した。また、以下に示すアンケート調査では入力者が特定されない院内の調査システムを使用、今回の実践報告を行うことは看護部の承認を得た。【結果】202X年4月~202X年2月の11か月間、新たに構築した仕組みを運用した。結果、申請数は708件、延べ使用日数2382日、減免金額、全ての項目で減少し、個室1室当たりの②の理由での使用日数は約52日であった。【考察】ツールを使用した仕組みにより、主治医判断で個室利用する患者の減少につながった。この要因として、仕組みの「見える化」が大きいと考える。取り組みの評価のため、関係する看護部副部長、看護師長に行ったアンケート調査では、この仕組みが構築されたことで、個室利用について、理由や期間を意識するなどの変化があったと看護部副部長6名全員が答えた。看護部副部長はこれまで個室管理に絡んでいなかったが、承認することや、データを分析することで意識が変化したと考える。さらに、病棟別、診療科別で集計され、診療部長会でもフィードバックされることにより、医師も適正使用に協力するようになったと考える。【実践への示唆】 複数人が承認するしくみや利用状況をフィードバックする仕組みを作ることで、同様の問題に対応できる可能性がある。