第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演58群 褥瘡・スキンテアへの対応

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:杉本 環

[口演58-3] 看護師の褥瘡発生要因に関する意識調査

内田 文, 山下 芽生 (佐世保中央病院)

【背景】A病棟は整形外科、膠原病リウマチ内科の混合病棟であり、その中でも大腿骨頸部骨折患者が多くを占めている。A病棟では褥瘡ケアに対して除圧や体位変換を行っているが、それでも褥瘡発生件数は減少せず上昇傾向にあった。【目的】A病棟看護師への意識調査によって、褥瘡予防ケアの知識や意識・関心度を明らかにすることを目的とする。【実践内容、方法】A病院の研究倫理審査委員会の承認を得て全ての研究を開始した。(承認番号2022-32)対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について口頭と文書で伝えた。褥瘡発生要因や好発部位等、褥瘡予防に関する分散教育を、同じ資料、パワーポイントを用いてA病棟看護師全員に向けて行い、独自で作成した褥瘡に対する質問用紙を勉強会前後に配布し、調査を実施した。勉強会前後の質問紙の回答について点数化し対応のあるt検定を行った。【結果】褥瘡に対する意識調査10項目に対して勉強会前後で、「褥瘡発生要因について、以下へ知っている要因を全て記載して下さい」の問いに対して、正答率は37%から48%へ上昇し、t検定で有意差が認められた。皮膚に必要なケアの方法では正答率は46%から52%に上昇した。褥瘡発生部位についての正答率は36%から38%、ポジショニングを怠ることで影響があるかの正答率は12%から26%だった。摩擦やずれの発生予防についての正答率は21%から26%であった。体圧分散の方法についての正答率が37%から47%と上昇したがこれらの項目のt検定での有意差は認められなかった。勉強会後は体位変換や除圧の設問に対して12名中12名全員が意識していると回答した。意見としては「褥瘡好発部位が長時間圧迫しないようにしている。」「病衣・シーツのしわを伸ばす。」「ベッド周囲を整理する。」「圧が局所のみにかからないようにする。」「皮膚トラブルがある場合、そちらを上向きにするようにしている。」「体交枕の位置・身体の軸がずれないようにする。」「仙骨や背部のみではなく、踵部なども観察を行う。」と言う意見が聞かれた。【考察】褥瘡発生要因である皮膚への持続的な圧迫・皮膚の脆弱性・皮膚への摩擦・骨突出・浮腫・皮膚湿潤に対しての記述では勉強会後は有意に正答数が上昇した。皮膚の状態に対する必要なケアの方法では正答率は上がったが有意差は見られなかった。皮膚のスキンケアの方法やポジショニングを行う必要性の理解度について50%以下を下回ることとなり1度のみの勉強会では不十分であったと考えられた。今後は再度教育の方法を検討し繰り返し教育を行っていく事で知識の向上が期待できるのではないかと考える。有意差が認められなかった項目に関しても、正答率の上昇は認められた。【実践への示唆】観察ポイントなどのチェックリストを作成しながら日頃から知識や技術を繰り返し伝えていくことで今後の褥瘡予防に対する行動に繋げる必要があると考える。