第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

口演

口演58群 褥瘡・スキンテアへの対応

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:杉本 環

[口演58-4] 褥瘡に関する意識調査から見た発生要因と改善策の検討

西出 衣里, 井上 美香 (平成記念会平成記念病院)

【緒言】 A病棟は内科と整形外科の混合病棟で、内科は終末期で寝たきりの患者、整形外科は自己体動困難な患者が多い背景にある。昨年褥瘡発生件数が16件と一昨年と比較して7件増加。また経験年数5年未満が5割程であり、ベテラン看護師が1割程であった。経験年数による看護師の褥瘡発生予防に対する知識量の違いも要因であると考えた。寺升が行った褥瘡予防ケアにおける看護師の意識調査では褥瘡発生した要因は看護師の褥瘡予防に対する認識不足、科学的根拠を用いたケアの徹底が不十分であることが示唆されている。こういった背景から褥瘡発生原因を分析し、不足している知識の補充を行う事で、褥瘡発生率減少に向けた研究が必要と考えた。【目的】 A病棟における褥瘡発生の要因を褥瘡ケアの知識と難易度(意識)にて調査し、予防対策の検討資料とする。さらに、調査から得られた学習項目を焦点に勉強会を開催し基礎知識の補填に繋げる。【方法】1.対象:A病棟に勤務する経験年数5年未満の看護師18名2.研究期間:202X年8月~10月3.データ収集方法:調査用紙(資料1:2007年原田作成)を使用し、リッカート尺度を用い5段階評定とする。4.分析方法:褥瘡予防ケアの難易度の評定内容、回答結果を入力する倫理的配慮:対象の看護師には、今回の看護研究の目的を提示し同意を得た。学術集会で症例報告として発表することを説明し同意を得た。【結果】1.集計結果 全体的な結果として自身の現在の状況、難易度共に平均がどの項目もある程度の学習・経験で習得できるであった。その中でも知識不足と返答が多かった体位変換、褥瘡治療薬剤、創傷ドレッシング剤、ブレーデンスケール、DESIGN®に焦点を当て勉強会を実施した。2.勉強会後の集計結果勉強会実施後の質問用紙の結果、全員がほぼすべての質問に対し「理解した」または「とても理解した」と回答している。【考察 】直筆質問用紙で圧分散ケアについて13項目の質問を行ったが、「できる」と回答した人は80%以上であったが、 研究対象期間でA病棟の褥瘡発生要因をみると、半数以上がポジショニング不足であったため、知識不足で効果的な体位変換が行えていなかったと考えられる。間違った知識を改善し、新たな知識を習得することで褥瘡発生予防に繋がると考える。また褥瘡発生した患者は入院時より褥瘡発生リスクが高く、早期の介入が必要であったが、基礎知識が不足しており、アセスメントができず褥瘡発生に繋がったと考える。【結論】 本研究で褥瘡の発生原因、スタッフの認識や知識量の違いが明確になった。この結果をもとに病棟全体で統一した看護を行い、褥瘡予防に繋げていきたい。