第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター1群 看護記録

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:山本 都江

[ポスター1-5] 業務の効率化を目指した点眼表の取り組み

中村 香菜江, 中村 直毅, 佐藤 友梨, 中嶋 瑞希, 安部 玲奈, 瑞慶覧 真樹, 今野 茜, 片倉 睦 (東北大学病院)

【背景】点眼表は、全国の多くの医療機関で活用されているが、電子カルテと連動しないAccessやExcelで作成したシステムの報告に留まり、電子カルテ上の患者情報や処方情報と連動して点眼表を作成する事例報告はない。A病棟では、視機能が低下している全入院患者に対し、点眼表を作成し配布している。これまで、点眼表は看護師がExcelで作成していたが、個々に合わせて治療眼や点眼薬の種類・回数・点眼瓶や蓋と同じ色付けなどアレンジする作業は、多くの時間を要し業務負担を招いていた。【目的】電子カルテと連動した点眼表作成システムの開発導入により転記作業を減らし、業務の効率化を図る。【実践内容・方法】1. A病棟の点眼表に対する現状把握、課題抽出のため、点眼表作成時間や点眼本数の実態調査を行った。また、A病棟看護師23名に対して、点眼表作成や使用時に困っていることなどについて任意でアンケートを実施した。2. 1の結果をもとに、A病棟、医療情報部門および薬剤部と技術面の支援体制を整備し、電子カルテと連動するシステムを開発し、運用を開始した。3. A病棟看護師21名に対して、システム導入後の点眼表作成時間などについて任意でアンケートを実施し、導入したシステムを評価した。本研究は、個人の特定ができないように倫理的配慮を行い、B病院看護部研究計画書検討会の承認を得て実施した。【結果】点眼本数は「1日4本以下48%」、「5~8本45%」、「9本以上7%」であった。システム導入前は、点眼表作成時間が「5分未満66%」、「5~10分未満26%」、「10分以上8%」であった。導入したシステムは、個人のカルテから編集可能で、薬剤師が作成する持参薬報告書の点眼薬名と医師の処方オーダーがある点眼薬名や回数が自動反映される。作成時には、回数や治療眼はプルダウンで選択可能である。色付けは設定の通りに配色され、点眼薬の水溶、ゲル、懸濁、軟膏の配置順も設定される。点眼指示追加時は、処方された通り、本システムに反映される。編集画面にはチェックボックスがあり、再度、医師指示と照合できる機能がある。システム導入1カ月後では、点眼表作成時間は「5分未満93%」、「5~10分未満7%」で、5分未満の内訳は「1分未満14%」、「1~3分未満50%」、「3~5分未満29%」であった。操作に関連する項目は、おおむね高評価であった。【考察】本システムは、薬剤師が作成する持参薬報告書と医師の処方オーダーが自動展開されるため、大幅な時間短縮が認められ、点眼表作成編集が簡便で指示照合も容易になった。よって、点眼表の作成にかかる業務のシステム化を通して、効率化を推進することができたと言える。【実践への示唆】電子カルテと連動して点眼表を作成できるツールは他に事例がなく、注目に値する。今後、視能訓練士と連携し視認しやすい点眼表の工夫や、外来における在宅療養支援への活用を検討し、患者の治療継続の一助としたいと考える。