第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター20群 業務改善に向けた取り組み①

Fri. Sep 27, 2024 3:45 PM - 4:45 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:早尾 弘子

[ポスター20-3] 検査部署の看護における業務改善の取り組み

~始業時刻前残業廃止の影響の分析と成果~

濱田 知代, 山上 有紀子 (広島市立北部医療センター安佐市民病院)

【背景】日本看護協会による「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」では可視化されていない時間外労働を所定労働時間に取り組むことが推奨されている。検査部署では患者入室開始時刻に準備を間に合わせるため、始業時刻前のカウントされていない時間外労働が常態化していた。業務量調査により役割ごとの業務量の不均等さが明らかとなったため、業務内容と量を調整して役割別の業務フローを作成し業務改善を行った。【目的】業務フローを導入した業務改善による始業時刻前残業時間の変化、業務への影響、スタッフの意識・業務への満足度を検証する。【実践内容・方法】1)業務フロー導入前後の業務量および始業時刻前残業に関する比較 業務フロー導入前(A期間:202X年7月)と後(B期間:202Y年7月)の①1日あたりの内視鏡件数②各検査室の業務開始から最初の患者入室までの時間③各検査室の始業開始前残業時間についてWelchのt検定(有意水準5%)を行った。2)業務フローを導入した業務改善に対する看護師の反応 業務フロー導入前の202X年7月および導入後の202Y年7月の両時期に検査部署に所属していた看護師9名に業務フロー導入に対する考え・満足度について無記名自記式質問紙調査を実施した。 なお、対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について書面で説明しアンケートの記入をもって同意を得た。また本研究はC病院倫理委員会の承認を得た。(承認番号05-5-5)【結果】回収率:100%1)業務フロー導入前後の業務量および始業時刻前残業 ①1日あたりの内視鏡件数の平均±標準偏差:A期間が52.9±12.04件、B期間が54.1±10.63 件であり有意差は認められなかった。 ②業務開始から最初の患者入室までの時間:全検査室においてB期間の方が短く有意差を認めた。(P<0.05) ③業務開始時刻:A期間の始業時刻前残業平均時間の最小は月曜日59分で、最大は水曜日83 分、始業時刻前残業が0分の日はなくB期間の始業時刻前残業時間は0分であり両期間に有意差を認めた。(P<0.05)2)業務フロー導入に対する看護師の反応 肯定的な意見が100%を占め、自由記述には精神的負担減少の意見が多数みられた。【考察】1)1日の内視鏡件数が同様の状況下でB期間では患者入室までの所要時間が短縮され予定通りに検査を開始できたことから、作成した業務フローに沿って業務を行うことで始業時刻前残業をしなくても業務に支障がなかったと判断される。2)アンケート結果から業務フローを導入したことで役割が明確化し、一定時間内の業務量を 分担できたことが精神的負担軽減につながったと考えられる。以上のことから職場環境も改 善したと推察される。【実践への示唆】役割の明確化と業務の分担・調整をすることは特定の人への業務量過多を防ぎ個人の精神的負担が軽減する。また、スタッフが納得できる方法で業務改善を行うことは職場環境の改善へつながる。