第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

ポスター

ポスター3群 周術期の看護①

2024年9月27日(金) 11:15 〜 12:15 ポスター会場 (展示ホール)

座長:松沼 早苗

[ポスター3-2] A病院心臓血管外科手術後の退院指導の効果

渡邊 奈々美, 奥永 桂可, 瀬崎 紗央理, 高本 卓也, 太田 敏治, 中川 由美 (小倉記念病院)

【緒言】看護師は患者が自身の健康問題を理解し、改善に向けて自己管理ができるように支援する役割がある。退院指導においては、患者の疾病の再発予防と残存機能の維持、自立への支援が求められる。心臓血管外科術後は、血圧や体重の管理、塩分制限、内服管理、創部管理、運動、禁煙の重要性について理解を促すことで、疾病の再発や合併症を予防し、QOLの回復を支援することが重要である。当院ではパンフレットを用いた退院指導を実施しているが、指導後の患者の理解や遵守状況についての評価は十分でなく、また心臓血管外科の退院指導に関する先行研究も少ない。【目的】退院指導後の患者の理解度や退院後の遵守状況を明らかにする。【方法】202X年9月~12月までにA病院で心臓血管外科術後に退院指導を受けて、質問紙調査の同意を得た患者で、局所麻酔手術、転院、認知機能低下は除外対象とした。調査は2時点で実施し、退院指導の直後には理解度と入院前の実践度、外来受診日には退院後の実践度について、血圧測定、体重測定、塩分制限、創部管理、運動、禁煙に関して4件法(1.できた~4.できなかった)で回答を得た。回答は記述統計を算出した後、ウィルコクソンの順位和検定により入退院前後の実践度の平均値の差を評価して、マンホイットニーのU検定により項目毎の背景因子を比較した。調査はA病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号202311)。【結果】1.対象者の背景69名が対象となり、58名から回答を得た。男性34名(59%)、年齢69±9.9歳(平均±標準偏差)、入院日数22.4±9.4日、在宅日数25.3±7日で、術式の主な内訳は胸部正中切開45名、低侵襲心臓手術6名であった。2.退院指導の理解度と退院後の実践度血圧測定1.3、体重測定1.4、塩分制限1.3、創部管理1.2、運動1.2、禁煙0.9といずれも指導の理解度は高かった。実践度の評価は、塩分制限は入退院前後で有意差があり(P<0.05)、退院後の方が塩分制限は出来ていた。退院後の実践度は年齢や仕事の有無、同居の有無では違いは認めなかったが、男性は女性に比べ血圧測定が実践できていなかった(P<0.05)。【考察】退院指導の直後には、理解度の全ての項目は平均値2を下回り、理解が得られていた。しかし、実践度の有意差があった項目は塩分制限のみだった。血圧測定は入退院前後で同程度の実践度、体重測定に関しては退院後の方が実践度は低く、看護師として改善を促す余地がある。入院中は看護師が血圧や体重測定を実施し、自己管理の支援が出来ていないこと、患者が実践可能な方法の提案や個別性への配慮が不足していたことが原因として考えられる。【結論】退院指導の理解度は高く、退院後も実践できる傾向にあることから退院指導は概ね適切であったと言える。今後は患者が主体的に自己管理できるような退院指導にするために、血圧や体重の記録用紙を配布して入院中より意識付けをするなどの見直しが課題である。