[ポスター3-4] 膀胱テネスムス症状に対する看護介入の効果
介入前後の変化を観察し適切なケアを考える
【緒言】膀胱テネスムス症状に対して消炎鎮痛剤が症状軽減に効果があることは明らかになっているが、看護介入前後の患者の症状の変化は明らかになっていない。そこで膀胱テネスムス症状に対して消炎鎮痛剤と看護介入の効果を明らかにすることで、最適な看護ケアへの示唆を得たいと考えた。【目的】膀胱テネスムス症状に対する効果的な看護介入を明らかにする。【方法】1)1郡事前事後テストデザイン2)対象:経尿道的尿管結石砕石術後に膀胱留置カテーテルを挿入した患者20名3)収集データ:対象者の属性、介入前後の膀胱テネスムス症状をフェイススケール(以下FRS)と患者の発言内容、脈拍数、客観データ(苦悶様表情と冷汗、不穏行動の出現数)、症状出現時の介入の内容4)分析方法:脈拍数と客観データは記述統計を行った。FRSと発言内容から抽出した言語コードをWilcoxonの符号付順位和検定を用いて分析した。統計ソフトはSPSS(Version23)Ⓡを使用した。5)倫理的配慮:研究対象者に研究の趣旨・方法、研究の公表可能性について文書と口頭で説明し了承を得た。A病院倫理委員会にて承認を得た。(承認番号:2023-44)【結果】対象者20名中、8名が症状なし、12名が症状ありであった。症状ありの12名の20場面を分析対象とした。平均年齢58.9歳±14.5。脈拍数は介入前が69.4±10.7で介入後が67.6±12.1であった。客観データ数は介入前が0.35±0.59で介入後が0.05±0.22であった。発言内容のコード化では計21個のコードから6つのカテゴリーを抽出した。消炎鎮痛剤を使用した11場面のFRSの中央値と四分位範囲は、介入前3(3-4)より介入後2(0.5-2.5)のほうが有意に低値であった(p<0.05)。また、言語コード数は介入前2(1.5-2)より介入後1(0-1)のほうが有意に低値であった(p<0.05)。尿の誘導とカテーテルの固定位置の変更9場面のFRSの中央値と四分位範囲は、介入前より2(1-3)介入後1(1-2)が低値であったが有意な変化はなかった(p=0.1)。また、言語コード数は介入前1(1-1)と介入後1(1-1)で有意な変化はなかった(p=0.179)。【考察】1.消炎鎮痛剤の使用前後の変化福井らは「苦痛が強度であれば、会陰部の冷罨法やボルタレンⓇ座薬の使用が有効である」と述べている。本研究からも不快症状の自覚がFRS3から4に加えて複数の不快症状に関する発言がある時は、消炎鎮痛剤の使用によって膀胱テネスムス症状を軽減できると考えられる。2.看護による苦痛の軽減福井らは「不快の程度が軽度であれば安静やカテーテルの固定位置の変更で対応できる」と述べている。本研究からも、FRSが2程度のテネスムス症状に対しては尿の誘導とカテーテルの固定位置の変更によって患者の苦痛の軽減が可能であることが示唆された。【結論】消炎鎮痛剤は膀胱テネスムス症状の軽減に効果的である。また、膀胱テネスムス症状がFRS2程度の場合には、尿の誘導やカテーテルの固定位置の変更によって症状を軽減できる可能性がある。