[ポスター30-3] Flash glucose monitoring導入における外来高齢者糖尿病の看護
自己効力感を用いた関わり
【緒言】2型糖尿病の自己血糖測定(self monitoring of blood glucose以下SMBGと称す)に加え、Flash glucose monitoring(以下FGMと称す)が深夜帯の無自覚性低血糖の把握や侵襲が少ない血糖測定を目的として、A病院の外来でも導入している。80歳以上でも導入しているが、手技獲得に難渋したり、目的を熟知していない患者と関わる場面があった。FGM導入指導を振り返る中で、自己効力感を高める関わりの不足に気づいた。そこで本研究では、FGMを導入する高齢糖尿病患者において、自己効力感に着目した看護を実践し、FGM手技獲得におけるその効果の有無を明らかにしたいと考える。【目的】FGMを導入する高齢糖尿病患者において、自己効力感に着目した看護を実践し、FGM手技獲得への効果を検証する。【方法】A病院の倫理審査委員会の承認を得て(承認番号 2022011)、202X年3月~202X年9月に65歳以上のFGMを導入した患者2名に、Banduraが提唱した自己効力理論に基づき、安酸史子が開発した「効力予期と結果予期」「効力予期と結果予期との関係:パターン分析」を用い、対象患者のパターンとそれに応じた適切な看護支援を「自己効力感に影響する4つの情報源の方略」に照らし合わせ、「6ステップ・メソッド」を用いて看護展開を実践した。対象者に対し、本研究の主旨・調査概要について書面と口頭にて説明した。研究への参加は自由意志であり、申し出により途中でも同意撤回書の記載によりいつでも辞退出来ること、参加の拒否や途中辞退しても対象者の今後の診療や看護において何ら不利益が生じないことの説明を行った。また、対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について、および学術集会で症例報告として発表することを書面で説明し、同意書をもって同意を得た。【結果】A氏には「自己効力感に影響する4つの情報源の方略」を全て実施しFGM手技獲得できたが、SMBGとFGMの血糖値の誤差が気になりFGM中断となった。B氏には「自己効力感に影響する4つの情報源の方略」全ての実施に加え、夫のサポート体制を充実させることで、FGM手技獲得が可能となった。【考察】両者に「自己効力感に影響する4つの情報源の方略」は全て有効であったが、A氏がFGM中断に至った理由として、その簡便性や重症低血糖のモニタリングの必要性及び、健康リスクが増大になる事よりも、SMBGとFGMの血糖値の誤差が少ないことの方が重要な価値観を持っていたと考える。B氏は特に夫と共同で指導した事が、自己効力感の向上に有効であったと考える。【結論】両者のFGM手技獲得において、「自己効力感に影響する4つの情報源の方略」全てが有効であったが、家族の協力を得たり、価値観に配慮した協働的な意思決定へ繋げるプロセスが重要である。また、自己効力感向上の客観的指標に欠けており、今後は一般性セルエフィカシー尺度を用いた研究を実施する必要がある。