[ポスター30-4] 糖尿病透析予防診療チーム構築への取り組み
【背景】透析予防指導管理に向けた透析予防診療チーム(以下,透析チーム)の立ち上げにともない,リスク要因に関する評価,指導計画及び実施した指導内容の記載が義務付けられている.この要件を透析チームとして満たすため,A病院の看護師が透析チーム管理体制の構築に取り組んだ.【目的】透析チームを構築し運用マニュアルを作成する.指導ができる看護師を育成し,透析予防管理体制を整える.【実践内容・方法】医師・栄養士・看護師・理学療法士・薬剤師からなる透析チームを結成した.目標を確認し専門分野の小集団活動を実施した.運営方法やシステム構築は,医事科・システムエンジニア(SE)の協力を得てテンプレートや情報の共有化を行った.関連部署間で協働作業に取り組みマニュアルを作成した.指導ツール用の患者指導パンフレット作成には,関連部署との連携を図るための勉強会やシミュレーションを実施した.倫理的配慮として,組織内活動の情報提供と各所属長に人員動員と施設の承認を得た.(承認番号:2023-017)【結果】多職種から協力が得られた.話し合いは意見を統一しやすいように看護師が中心となり,専門分野の小集団活動に参加した結果,各問題が明らかになった.運営方法やシステムは医事科やSEと共に内容確認したことで使いやすい設計になり,決定後はクラークの協力も得た.看護師は患者の理解度を総合的に把握できるため,多職種と連携・調整に徹し,多職種で活用できる指導記録テンプレートが作成できた.一覧化されたことで情報を容易に確認できた.指導ツールとしての患者教育パンフレット作成では,病期に合った内容を理学療法士に依頼し,必要時には指導のできる体制を構築できた.透析予防指導の看護師育成は,院外研修の活用・必要な情報・技術を習得し,実際の症例を用いた指導案でシミュレーションを実施後、栄養士と連携を深めたいとの意見が出され,学習会を開催した.【考察】通常の業務命令ならトップダウンによるものが多い中,看護職が主体となり透析予防管理体制を構築した.各専門分野の課題に合わせた話し合いから開始し,個々に情報共有の場を設定したことで自己開示しやすい活動に展開できた.意見や問題点を伝達しやすい環境を作ることがチーム構築の要因となった.透析チームの活動が部署間の連携に繋がり,協力を得ながら意欲の向上や指導の質の向上にも繋がったと考える.マニュアル作成が組織全体把握に繋がり、総合的に透析チームが関与できたことも構築要因として重要であったと考える.作成されたマニュアルは,具体的な指導方法がイメージし易く,看護師の育成において不安の軽減に役立ったと考える.【実践への示唆】透析チームの構築を通して,多職種で関わることが組織全体を動かすマニュアル作成になった.チーム構築には,部署間の情報共有やコミュニケーションの輪が重要であることが示唆された.