第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター48群 精神看護②

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:屋嘉比 浩子

[ポスター48-2] 自傷をする患者への看護師の感情と関わり方

精神科思春期青年期病棟に入退院をする患者

飯塚 彩乃 (松沢病院)

【緒言】A病院の精神科思春期青年期病棟では、自傷行為で入退院を繰り返す患者が多く、看護師がどのような感情で患者と関わっているのか明らかにしたいと考えた。先行文献はなかった。【目的】精神科思春期青年期病棟における自傷行為で入退院を繰り返す患者への看護師の感情と関わり方の工夫を明らかにする。【方法】研究期間は202X年9月~5か月。他精神科病棟で経験がある5年以上の看護師経験年数があり、精神科思春期青年期病棟に2年以上勤務経験がある看護師を対象に半構造化面接法を行った。ICレコーダーに録音し逐語録を作成、データーを抽出しコード化、サブカテゴリー、カテゴリーに分類し考察を行った。A病院看護部倫理審査会での承認を得た(承認番号2023-41)。対象者に研究協力の自由意志、匿名性の保持などを書面および口頭で研究の説明を行い、書面で同意を得た。【結果】研究に協力した看護師は5名。分析の結果、看護師の感情はコード80個、サブカテゴリー32個、カテゴリー6個[揺さぶられる気持ち][ 患者への期待感][ケアに向き合うことで生じる葛藤][患者にとっての居場所を考える葛藤][ケアの難しさ][自傷行為に対する思い]に分類、関わり方の工夫はコード84個、サブカテゴリー37個、カテゴリー10個[チームで患者を看る][精神科思春期・青年期の領域の難しさを認識する][患者を尊重する][患者と距離を取る][患者の内面に踏み込む][患者の行動変容を促す面談をする][面談時に患者の生きづらさや思いを引き出す][他病棟での経験を活かす][再び自傷行為を行わないようにするための対応][生きづらさの視点に立って看る]に分類された。【考察】看護師は患者に対して[揺さぶられる気持ち]になりサブカテゴリー〈残念な思い〉がすべての看護師に共通した。[患者にとっての居場所を考える葛藤][自傷行為に対する思い]により、患者の気持ちに寄り添う傾向がある。そのため、患者との心理的距離が近くなり[患者への期待感]があると考えられる。[ケアに向き合うことで生じる葛藤]により、看護師は患者に対して、ネガティブな感情を抱く一方で患者と向き合い、それゆえケアに葛藤している。関わり方の工夫では、[チームで患者を看る]ことは[面談時に患者の生きづらさや思いを引き出す] [患者と距離を取る]など、信頼関係を構築する一方で、患者と適切な距離を維持できないと心理的疲労に繋がる。利根川(2010)は「スタッフと役割分担を行いチームでかかわっていくことが必要である。」と述べている。 [患者の行動変容を促す面談をする][再び自傷行為を行わないようにするための対応]で有効な面談を行っていた。【結論】看護師の感情は〈残念な思い〉が共通しているが、患者に対する期待の気持ちもある。関わり方の工夫は、チームで患者を看る体制を心がけていた。本研究では対象者が5名であり一般化には限界がある。今後の看護に活かしていきたい。