第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター49群 介護・福祉関係施設等における看護

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:山川 将人

[ポスター49-3] A介護医療院レクレーション活動の現状

入所者が希望するレクレーションとの違い

上堂薗 由紀, 田中 眞美 (稲築病院介護医療院いなつき)

【緒言】開設5年目のA介護医療院では、QOL向上に繋がる楽しみを提供するためにレクレーションや季節行事を行っている。しかし、新型コロナウイルスの流行でレクレーションの縮小を余儀なくされたことや、入所者の平均年齢が上がり疾患の重症化や認知機能低下等、介護度が4以上へ変化したことにより以前の様なレクレーションが出来ていない現状がある。【目的】A介護医療院が提供するレクレーションと入所者が希望するレクレーションの違いを明らかにする。【方法】レクレーション実施記録の確認と、入所者・入所者家族へ老後の趣味を参考に独自で作成したアンケート用紙を使用し、口頭・記述式のアンケート調査。調査結果は単純集計とし①運動②作業③頭脳にカテゴリー分類する。更にレクレーション項目の内容を点数化しデータを比較する。倫理的配慮として、対象者に情報管理や匿名性、研究協力は自由意志で断っても不利益を受けないこと、学会発表や論文として公表することを書面と口頭で説明し、同意を得た。またA施設の研究倫理委員会の承認を得た(承認番号A-2)。【結果】平均年齢は男性85歳・女性92歳、平均要介護度は介護1(9%)・2(12%)・3(15%)・4(36%)・5(28%)である。週2回30~60分のレクレーション提供で、1回の参加者は要介護2以上の7、8名と要介護5の経管栄養者1名である。提供したレクレーション内容は、季節行事(誕生会・初詣等)、運動(体操・散歩等)、作業(塗り絵・音楽鑑賞等)、頭脳(パズル・カラオケ等)である。入所者(聞き取り可能な7名)・家族のアンケート「どのようなことが好きですか?好きでしたか?」は、カテゴリー分類と医療院実施項目の比較結果として、本人回答は、運動3件、作業3件、頭脳1件で0%の提供なしである。家族回答は、運動54件、作業58件、頭脳22件、合計134件47点で提供なし82%、提供あり18%である。「どのようなレクレーションをして欲しいですか?」は、運動13件、作業22件、頭脳10件、合計45件57点で提供なし36%、提供あり64%である。【考察】レクレーションの提供は、集団が中心である。本人の結果から0%、家族の結果で82%が提供なしだった事は、望む項目が個別であった為と考える。これは、超高齢化と高要介護度の増加により、参加する入所者の身体的活動や認知機能低下が要因と考える。家族が望む項目で提供ありが64%だったのは、A介護医療院と同様に入所者の五感に関連して認知機能低下を予防できるものを選択していると考える。【結論】入所者が希望するレクレーションとA介護医療院が提供するレクレーションに違いがある。また、個別レクレーションの実施が少ないと言える。今後の課題として、個人の楽しさを引き出すためのレクレーションに着目し、残存機能を活かす項目を提供していく必要がある。