第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター50群 出産・育児への支援

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:濱嵜 真由美

[ポスター50-5] A病院退院後の褥婦が抱える心配事の実態

-産後2週間健診までの相談内容を調査して-

戸次 朱里, 小林 美和 (大分県立病院)

【緒言】育児に自信のない母親、育児不安、孤立感を抱える母親が増加傾向にあることは多くの研究で明らかとなっている。今回褥婦の不安が最も強く、相談者が欲しいと思った時期とされる退院後1~2週間の心配事を明らかにすることで、入院中の保健指導の一助となり、退院後の褥婦の不安軽減につながると考え実態調査を行った。【目的】産後2週間健診までの相談内容を明らかにし、入院中の保健指導の課題を見出す。【方法】202X年8月から11月にA病院で分娩(死産除く)した褥婦79名に対する電話訪問や電話相談、2週間健診時に褥婦から受けた相談内容を調査した。調査内容は①授乳に関すること②児に関すること③母親自身に関することの項目とした。統計解析には基本属性は単純集計を行い、相談内容については調査票の結果を項目ごとに単純集計するとともに属性と項目をSPSSVer.24を用いてFisherの直説法を行い、有意水準は5%未満とした。A病院の研究倫理委員会での承認を受け調査を実施した(承認番号4-95)。【結果】対象者の平均年齢は32.5歳(SD5.9)、初産婦41名(51.9%)、経産婦38名(48.1%)であった。調査期間内の電話訪問は32件、電話相談13件、2週間健診66件であった。2週間健診までに相談があった褥婦は79名中60名であった。授乳について相談をした褥婦は46名で、ミルク量16名(34.8%)、児の体重13名(28.3%)、母乳不足感9名(19.6%)であった。授乳に関する相談は経腟分娩の方が多かった(p=0.001)。児について相談した褥婦は30名で、児の異常判断10名(33.3%)、児の疾患に関すること4名(13.3%)で属性による有意差はなかった。母親自身について相談をした褥婦は34名で、メンタルヘルス15名(44.1%)、その他の合併症に伴う頭痛や下痢等の症状5名(14.7%)、疲労感、腰痛、恥骨痛など産後のマイナートラブル8名(23.5%)であった。メンタルヘルスに関する相談は属性による有意差はなかった。【考察】入院中は助産師の助言を受けながら混合栄養を行っているため、児に応じたミルク量を自ら判断できるよう、自立に向けた指導に重点を置く必要がある。児の異常の判断は電話では解決できず受診を要する場合もあるため、受診の可能性も考慮し小児救急等の情報提供を徹底する必要がある。メンタルヘルスは入院中の集団指導だけで解決はできないため、電話訪問や2週間健診はメンタルヘルスに不安を抱く褥婦に有益な関わりであると考える。また、自己の行動を専門職者に肯定されることは、母親の成功体験となり、育児への自信や不安の軽減に繋がると報告されていることから入院中だけでなく退院後早期の関わりによるケアの継続性が重要である。【結論】1.褥婦の自立に向けた授乳指導に重点を置く必要がある。2.退院指導で児の異常判断に迷った際の相談先の情報提供を徹底する必要がある。3.電話訪問や2週間健診はメンタルヘルスに不安を抱く褥婦に有益な関わりである。