第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター54群 看護管理者等の実践・能力

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:石川 紀子

[ポスター54-3] A病院看護管理者の職務満足度の現状と課題

渡辺 美和1, 平田 正子1, 田原 裕子2 (1.神奈川リハビリテーション病院, 2.厚木看護専門学校)

【背景】近年、看護管理者には社会情勢の変化や看護対象者の複雑化・多様化への対応に加え、働き方改革や多様性を活かすダイバーシティマネジメントが求められている。しかし、日本看護協会が実施した看護師長への全国調査によると「看護師長になりたくなった」との回答が44%であり、看護管理者としてのキャリアを望む看護師は多くはない。このことからA病院では、看護管理者がいきいきとやりがいを持ち働き続ける姿が看護管理への興味・関心や看護管理者を目指す意欲に繋がると考え、「次世代看護管理者育成研修」を開始した。しかし、研修参加を希望する職員数は増加していない。そこで看護管理者の職務満足度調査を行い、現状と課題を明らかにしたいと考えた。【目的】A病院看護管理者の職務満足度の現状と課題を明らかにする。【実践・内容方法】A病院看護科長(師長)13名に先行研究を参考に作成した質問と「職務満足度向上には何が必要か」の自由記載から構成される調査を実施し考察した。自筆によって個人が特定されないように回答はPC内に作成したフォーマットを使用し、印刷したものを封筒に入れ、管理当直室に設置した回収袋への提出をもって同意とした。また本研究は、A病院臨床倫理会議の承認を得ている(承認番号No.krh-2023‐010)。【結果】10名の回収で回収率は76.9%であった。満足度が高い順に「組織理念を目指した仕事である」「看護科長は助けあっている」「上司との適切な関係が構築できている」「能力向上の機会がある」「当直時の環境は整っている」「部署間での調整がうまくいっている」であった。一方、満足度が低い順に「給与は労働に見合っている」「適切な業務量である」「適切な人員配置がされている」であった。自由記載では39個の回答中、質問に対する回答(有効回答)が15個(38.5%)であり、「給与」「労務管理」「風土と環境」「スタッフのやりがい」「自身の能力向上」「判断力」が職務満足度向上に必要であると回答した。【考察】組織の理念を理解したうえで職務に従事していることが伺えるが、人間関係や教育体制の満足度が高く、労働条件の満足度が低いと言える。自由記載で抽出された回答は、ハーズバーグ二要因理論の衛生要因である「給与」「労務管理」「風土と環境」と動機づけ要因である「スタッフのやりがい」「自身の能力向上」「判断力」に分類できることが明らかになった。動機づけ要因の充実は職務満足度に強く影響を与えることから、「自身の能力向上」のために自己教育力を高めると同時に教育の機会を与え、身に付けた「判断力」や管理能力を実践に活用し「スタッフのやりがい」という結果を生み出すことがA病院看護管理者の職務満足度向上の課題である。【実践への示唆】今後も看護管理者の職務満足度向上に取り組み、看護管理者を目指す人財の増加を目指すことで、看護の質の担保に繋がることを期待し、活動を継続していきたい。