第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター55群 看護基礎教育②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:山澄 直美

[ポスター55-2] クリティカルケアにおける臨床推論力の育成

有識者レビューによる看護基礎教育プログラムの評価

髙栁 智子1, 酒井 禎子2, 樺澤 三奈子1, 相澤 達也1, 山岸 美奈子1, 坂田 智佳子1, 村松 卓弥3, 長井 卓也3, 岡村 典子1, 堀江 正男1 (1.新潟県立看護大学, 2.新潟薬科大学, 3.新潟県立中央病院)

【緒言】クリティカルケアの場は、患者の状態が刻一刻と変化するのが特徴である。クリティカルケアに携わる看護師には、病態や治療に関する幅広い知識をもとに、情報を統合し臨床推論を行うことが求められる。看護基礎教育でクリティカルケアを学ぶ上で、的確かつ迅速に行われる臨床推論の習得に困難感を抱く学生は多い。そこで、国内外の先行研究から得られたクリティカルケアにおける臨床推論の特徴を基盤に、クリティカルケアにおける臨床推論力を育成する看護基礎教育プログラム案(以下、教育プログラム案)を作成した。【目的】クリティカルケアにおける臨床推論力を育成する教育プログラム案について、有識者レビューにて有用性を検討し、洗練化を図ることを目的とする。【方法】教育プログラム案:看護系大学4年次生を対象とした、少人数教育によるアクティブラーニング型授業プログラムである。未診断の状態で救急搬送され、救急外来での初期治療を経て集中治療室での治療を受けるまでのシナリオ事例を作成し、事例展開を通して臨床推論を体験的に学修することを意図している。対象:クリティカルケアを専門とする看護実践家3名と看護教育者3名の計6名。データ収集方法:対象は、教育プログラム案の説明を研究者から受け、以下の評価項目で構成された評価票への記入を依頼された。評価項目:①学習目標を達成する上での有用性5項目②シナリオ事例の有用性3項目③クリティカルケア特有の臨床推論を学ぶ上での有用性6項目④看護基礎教育プログラム案全体の意見とし、①~③の計14項目は4件法(「4:そう思う」~「1:そう思わない」)と「4」以外の場合は評価理由(自由記述)、④は自由記述での回答とした。分析方法:①~③は、項目別に「4」または「3」の評価者数の比率をContent Validity Index(以下、CVI) として算出し、0.78を基準値とした。また、④ならびに各項目の評価理由を参考とした。倫理的配慮:研究者の所属大学の倫理委員会の承認を得た(承認番号 A大023-12)。【結果】14の評価項目のうち、12項目のCVI が基準値以上であった。③は全項目で基準値を上回っていた。一方、CVI が基準値未満であった項目は、①と②で各1項目あり、①クリティカルケアにおける多職種連携と②シナリオ事例のリアリティへの指摘であった。【考察】本教育プログラムは、看護基礎教育においてクリティカルケアの臨床推論の特徴を学ぶ上で概ね有用であると評価された。今後、シナリオ事例に見合った学習目標の修正を行うとともに、臨床推論を促進させる仕掛けとしてシナリオ事例のリアリティを高めていくことが、教育プログラムの洗練化に必要と考えられた。【結論】本教育プログラムは、クリティカルケアにおける臨床推論力の育成に概ね有用であることが示唆された。