第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター56群 がん看護に関する看護職の意識

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:岡本 泰子

[ポスター56-2] 一般総合病院における病棟看護師のがん看護に関する困難感

201X年から202Y年にかけての変化

我満 文実, 冨士井 絢, 阿部 茉莉奈, 杉田 未再紀, 山下 友梨, 八桁 真波, 山下 慈, 川浪 理恵子 (青森県立中央病院)

【緒言】2020年COVID-19の感染拡大防止対策として家族との面会制限などにより、終末期や意思決定支援など入院でのケアは大きく変化した。そこで、202Y年と201X年のがん看護困難感の調査結果を比較し、がん看護の教育計画を検討する基礎資料にしたいと考えた。【目的】202Y年と201X年のA病院の病棟看護師のがん看護に関する困難感の変化を明らかにする。【方法】202Y年9月にがん診療センターの病棟看護師を対象に、属性及びがん看護に対する困難感尺度(小野寺他,2013,以下困難感尺度)を調査した。困難感尺度は、6下位尺度からなり、点数が高いほど困難感が高い。分析は記述統計及びPearson相関分析(看護師・がん看護の経験年数と困難感尺度)を行った。【倫理的配慮】A病院の倫理審査委員会の承認を得た(R05-2-049)。【結果】対象は158名配布し93名から回収(回収率58.8%)、有効回答は81名(有効回答率51.2%)を得た。年代は、20代が30名(24.3%)、次いで40代が28名(22.7%)を占めた。看護師経験年数の平均は11.8年(±9.3)、10年以上がん看護経験年数の平均は1.7(±1.6)年であった。困難感尺度の下位尺度の平均値(±SD)は、「システム・地域連携」4.5(±0.8)、「コミュニケーション」4.4(±0.7)、「告知・病状説明」3.7(±1.0)、「知識・技術」3.7(±0.8)の順で高かった。202Y年は、「告知・病状説明」と「知識・技術」の困難感の平均値が、201X年に比べ高かった。また、困難感尺度の項目別に平均値をみると、「コミュニケーション」と「システム・地域連携」は全項目の平均値が4以上、項目別で最も平均値が高いのは、「システム・地域連携」の「身寄りがいない患者の在宅療養」5.1(±0.9)で、201X年と同様の結果であった。がん看護経験年数と困難感の下位尺度の相関では、「告知・病状説明」(r=0.28,p=0.01)のみ相関を認めた。【考察】本研究の結果、「システム・地域連携」の困難感が、201X年の結果及び他施設の先行研究と比べ高いことが明らかになった。これは患者・家族の高齢化、高齢単独世帯などの家族背景の複雑さが示唆された。「コミュニケーション」、「告知病状説明」の困難感については、COVID-19の影響で医療者と患者・家族との時間確保が困難であったことが要因と考えられた。【結論】202Y年は、「告知・病状説明」と「知識・技術」の困難感の平均値が、201X年に比べ高かった。今後も、多職種と定期的にカンファレンスし、協働で患者支援を行っていく必要がある。また、看護師のコミュニケーションスキルのトレーニングの確立が求められる。