第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター56群 がん看護に関する看護職の意識

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:岡本 泰子

[ポスター56-3] 終末期がん患者に関わる看護師の困難感

婦人科患者に関わる視点から

奥寺 悠梨, 三浦 みどり, 山下 慈, 田中 桂子 (青森県立中央病院)

【緒言】先行研究では、看護師は悲嘆する患者や家族を支援する中で、自身の感情をマネジメントすることが困難になると報告されているが、婦人科がんに特化した報告は少なかった。B病棟では、婦人科がんの看取りが年間数例あり、看護師がつらさを表出したことが度々あった。そこで、終末期の婦人科がん患者に関わる困難感を明らかにしたいと考えた。【目的】終末期の婦人科がん患者に関わる病棟看護師の困難感を明らかにする。【方法】研究期間は202X年10月~11月、対象はA病院の婦人科病棟で終末期患者に関わった看護師である。調査内容は、看護経験年数、事例をもとに婦人科がんの終末期の困難感について半構成的面接を行った。分析は逐語録を作成し内容分析を参考にコード化、カテゴリー化した。『』はカテゴリー、《》はサブカテゴリー、〈〉はコード、()はコード数を示す。【倫理的配慮】A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号R05-2-031)。【結果】対象は5名、看護経験年数は平均16.8年(最小8年、最大30年)、インタビュー所要時間は平均23分であった。終末期の婦人科がん患者に関わる看護師の困難感は、3カテゴリー、6サブカテゴリー、27コードを抽出した。終末期の婦人科がん患者に関わる看護師の困難感では、『終末期の症状が緩和できない、繰り返されるつらさへの対応』、『終末期の家族に関わることへの難しさ』、『家族に心配をかけたくない、つらさを抱え込む患者への関わり』の3カテゴリーであった。『終末期の症状が緩和できない、繰り返されるつらさへの対応』では、《婦人科がんの進行に伴う症状が緩和しきれない難しさ》(8)と〈膣・肛門の瘻孔による便汁の異臭のつらさ〉など《病状進行による排泄経路に関するボディイメージの変容》(3)があった。『終末期の家族に関わることへの難しさ』は、《家族間で一致しない最後の療養》(2)、《母を亡くす子どものつらさへの関わり》(3)、『家族に心配をかけたくない、つらさを抱え込む患者への関わり』では、《家族の前で気丈にふるまう、つらさを表出できない患者への関わり》(6)、《母であるからわかる、患者のつらさにふみこめないもどかしさ》(2)があった。【考察】病棟看護師は、婦人科特有のボディイメージの変容、母・妻としての社会的役割を遂行できずにいる苦悩への関わりに困難感を抱いていた。看護師が一人で困難感を抱え込まないよう、カンファレンスなどの共有の場を設定してお互いの気持ちを表出し、看護援助について話し合いフィードバックの機会を作る事が重要であると考える。【結論】終末期の婦人科がん患者に関わる病棟看護師には、「終末期の症状が緩和できない、繰り返されるつらさへの対応」、「終末期の家族に関わることへの難しさ」、「家族に心配をかけたくない、つらさを抱え込む患者への関わり」の困難感があった。