第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター57群 周術期の看護④

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:芝田 香織

[ポスター57-3] 骨盤臓器脱患者の思いの変化

受診・手術の決意から退院までの気持ちの変化に関する実態調査

佐藤 恵美, 佐藤 奈菜, 蛯原 友恵, 長友 佐知, 川越 香奈子 (潤和会記念病院)

【緒言】骨盤臓器脱とは、骨盤内の臓器が脱出してくる疾患でありA病院では手術を行っている。この疾患は、QOLを損なう疾患であり受診・手術を決心するまでに何らかのきっかけがあったと考えられる。術前後の心理、生活状況に関する先行研究はすでに発表されているが、何に悩み期待して手術を受けるのかという思いに焦点を当てた研究は行われていない。短期間の入院であり、患者が抱えてきた思いを知らずに日々業務が行われている現状があるため今回は思いを知ることを目的に本研究に取り組んだ。【目的】対象患者にインタビューを実施し、生活上の制限や変化をどのようにとらえ手術を決意したのか、また受診から退院までに感じた思いを明らかにする。【方法】研究期間:202X年3月~202X年11月研究デザイン:反構造化面接法研究対象:A病院で仙骨腟固定術をうけた60~83歳の患者8名。半構造化面接法によりデータ収集をした。分析は逐語録を作成しカテゴリー化した。インタビュー時期:①発症から手術まで、②手術後、③退院前の3段階に分類した(以下①②③とする)。倫理的配慮:倫理的配慮に関し看護部の倫理審査委員会を受審し承諾を得た。対象患者に口頭と書面で研究目的・方法を説明し参加は自由でありプライバシーの遵守、得られた情報は本研究以外には使用しないことを説明した。また研究への協力を拒否しても不利益が生じないことを説明した。【結果】①では症状によるストレスなど5個のカテゴリーに分類された。手術に対し不安を抱える患者と期待をしている患者がおり対照的な発言があった。②では術後の不安など10個のカテゴリーに分類された。術後疼痛により後悔する発言もあったがメリットの方が大きく手術をしてよかったという発言もあった。③では手術終了への安堵など3個のカテゴリーに分類できた。術後尿漏れを発症するかもしれないという不安の声や同手術をした患者の現状が知りたいなど退院後の生活を見据えた発言があった。【考察】①では患者の思いは皆同じではなく経過によって多岐に渡るものであり、安心して手術に望めるようにねぎらう姿勢や声かけなど看護師の関わり方が重要であると感じた。②では術後苦痛の発言がある一方で症状が改善したことによる感謝や喜びの発言もあった。術後疼痛による苦痛の訴えを聞くことが多く、術前に術後疼痛や離床の必要性について説明する必要があると考える。③では安堵や喜びの声が聞かれた。術後疼痛の軽減や退院が近づいたことに伴い前向きになったと考える。【結論】①では不安や期待が入り交じっている状態であり生活背景や心理的状況を把握することが必要である。②では疼痛から後悔する患者もいた。疼痛や早期離床について詳細な説明が必要である。③では今後の生活に対し前向きになっていた。今後の課題として研究結果を共有し患者に寄り添った看護が実践できるように取り組んでいきたい。