[ポスター57-4] 早期子宮体癌に対し手術を受けた患者の手術前後の思い
【緒言】早期子宮体癌は腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(以下腹腔鏡下手術)およびロボット支援下子宮悪性腫瘍手術(以下ロボット支援下手術)が実施される。これらは一般的に低侵襲であり、入院期間が短いなどの利点がある。婦人科がん患者の9割が診断時から治療後までどの時期にも精神的支援を求めていると報告があるが、在院日数が短い中で患者の思いに沿った支援に疑問を抱いた。しかし、早期子宮体癌に対する低侵襲性手術患者に焦点をあてた研究は見当たらない。【目的】早期子宮体癌に対し腹腔鏡下手術およびロボット支援下手術を受けた患者の手術前後の思いを明らかにする。【方法】子宮体癌ⅠA期と診断され腹腔鏡下手術およびロボット支援下手術を受けた患者を対象に、術後60日目以内に半構造的面接を行い、質的記述的に分析した。対象者には研究の主旨、自由意思による参加について書面と口頭にて説明し同意を得た。本研究はA病院の医学倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:A‐114057)。【結果】参加者は、40~70歳代6名。患者の思いは[子宮体癌とその治療への不安][手術内容を理解した上で意思決定][早期癌と聞いて手術で治癒できる期待][家庭での役割が果たせなくなることへの不安][手術の成果に満足][術後の身体的苦痛と変化に対する不安][手術前のイメージと実際の相違][手術前の生活に早く戻りたいという願い][退院後の生活で生じた問題に自分なりに対処][家族の理解と支援に感謝]の10のカテゴリーが抽出された。【考察】患者の[子宮体癌とその治療への不安]は、術後の最終診断まで持続し、リンパ節郭清の有無、既往歴、社会的背景、癌に対する考え方で異なることが示唆された。術後、患者は切除創が少ないこと、術前の症状改善により[手術の成果に満足]する一方で、回復しない体力、2~3か月は腹圧がかかる動作を避ける必要があることから、生活や仕事への不安に繋がり[手術前のイメージと実際の相違]を感じていた。そのため、術前から患者の生活を具体的に確認し、制限のかかる動作や内容について伝えておく等、患者が術後をイメージできるように、細やかな指導が必要である。外来看護師は、患者の社会面と復帰にむけての課題や希望、気がかりを、病棟に申し送る。術後は、患者の思いをふまえた上で、患者と予測される生活への影響に対し、対処方法を検討する。しかし、退院後外来で、医師が創部を確認し活動範囲の拡大が可能か患者に指導されるため、入院中に明確に行える指導には限りがある。病棟看護師は外来看護師に継続支援を依頼し、患者に事前に看護師の支援があることを伝えることで、精神的支援につながると考える。【結論】本研究は、術前・術後の思いとして10のカテゴリーが抽出され、社会背景やニーズに合わせた患者指導能力の向上と、外来・病棟と切れ目のない継続看護の強化が示唆された。