[ポスター62-2] 整形外科手術後せん妄の看護の実際(1)
せん妄の早期離脱への看護師の関わり
【緒言】整形外科手術後(以下、術後)は、特に高齢者がせん妄を発症するとADLの低下や死亡率は高くなり術後の予後に大きく影響する。そのため、術後せん妄の早期離脱に向けた観察やアセスメントに関する報告が多い。しかし、術後せん妄患者が、せん妄状態を早期に離脱するための看護の実際を明らかにした研究は乏しい状況にある。【目的】整形外科手術後のせん妄患者への看護の実際について、せん妄の早期離脱への看護師の関わりを明らかにする。【方法】研究対象者:A病棟看護師(臨床4年目以上)5名、調査期間:202X年10月、データの収集方法:術後せん妄患者の早期離脱への看護師の関わりについて、インタビューを行った。データ分析方法:内容分析として、逐語録を作成し、一意味一内容にコード化し、さらに、サブカテゴリ化、カテゴリ化を図った。倫理的配慮では、A病院の研究倫理審査会の承認を得て実施した。対象者には匿名化及び情報の管理、学術集会で研究報告することを、同意書をもって同意を得た。【結果】術後せん妄患者の早期離脱への関わりは、47コード、14サブカテゴリ、4カテゴリに分類できた。以下、『』をカテゴリ、〈〉をサブカテゴリとする。『せん妄の早期離脱のための安楽な看護援助の提供』は25コード53%で、主に、〈タッチングを通して話を聴き共感した〉、〈患者に術後に起きている状況について情報を伝えた〉、〈日中の離床を促すための生活リズムの調整〉、〈せん妄状態や痛みの確認〉であった。次に、『せん妄時の患者の安全を守るための関わり』は10コード21%で、主に、〈ミトンなどを使用せず、コード類を見えないようにした〉、〈安全に過ごせるための環境整備を行った〉などであった。さらに、『せん妄回復のためにスタッフや多職種との連携』は8コード17%、主に、〈せん妄回復のため多職種と連携した〉などであった。『せん妄状態や痛みの確認』は4コード9%、主に、〈せん妄状態の確認〉などであった。【考察】術後せん妄患者への関わりは、せん妄の早期離脱のための安楽な看護援助の提供が約5割を占めた。安楽な看護を提供することで、患者の基本的ニーズが充足し、早期にせん妄からの離脱が期待できる。さらに、早期離床のために生活リズムを整える関わりが、患者の日常生活を取り戻し、せん妄回復へとつながることが明らかになった。次いで、術後の患者の安静と安全を守り、早期にせん妄状態から離脱するための看護実践が重要とする一方、せん妄の発症は多岐に渡るため、高齢者支援チームと連携し、看護師の専門性を発揮することがせん妄患者の早期離脱につながることも明らかになった。【結論】術後のせん妄患者の早期離脱への看護師の関わりは、安楽な看護援助の提供、患者の安全を守る関わり、スタッフや多職種との連携、せん妄状態や痛みの確認であった。これらの関わりが術後せん妄からの早期離脱につながることが示唆された。