[ポスター62-3] 整形外科手術後せん妄への看護の実際(2)
せん妄の早期離脱への関わりによる変化
【緒言】整形外科で手術を受ける患者は高齢者が多く、術後にせん妄を発症するリスクを抱えている。そのため、せん妄発症時の看護師の関わりはせん妄の離脱に大きく影響する。研究者は、整形外科手術後せん妄患者(以下、術後せん妄患者)への看護師の関わりについて調査した。その結果、せん妄の早期離脱を考えた安楽な看護援助の提供、患者の安全を守る関わり、スタッフや多職種との連携、せん妄状態や痛みの確認であった。本研究はそれらの看護師の関わりが、患者にどのような変化を及ぼしたのかを明らかにしたいと考えた。【目的】整形外科手術後のせん妄患者の早期離脱への関わりによる患者の変化を明らかにする。【方法】研究対象者:A病棟看護師(臨床4年目以上)5名、調査期間:202X年10月、データの収集方法:せん妄の早期離脱を考慮した安楽な援助など看護師の関わりによる患者の変化について、インタビューを行った。データ分析方法:内容分析、逐語録を作成し一意味一内容にコード化、更に、サブカテゴリ化、カテゴリ化を図った。倫理的配慮は、A病院の研究倫理審査会の承認を得て、対象者には匿名化及び情報の管理、学術集会で研究報告することを同意書をもって同意を得た。【結果】術後せん妄患者への看護師の関わりによる患者の変化として、20コード、6サブカテゴリ、3カテゴリに分類できた。以下、『』をカテゴリ、〈〉をサブカテゴリとする。『理解力が高まりせん妄の改善が図られた』は8コード40%で、主なサブカテゴリは、〈認知力の改善〉、〈説明により一時的に理解できた〉であった。次に、『混乱した状態が落ち着き入眠できた』は6コード30%で、主なサブカテゴリは、〈強い口調や攻撃的な行動がなくなった〉〈入眠できるようになった〉であった。さらに、『危険行動が無くなった』は6コード30%、主なサブカテゴリは、〈コードやルート類に触れなくなった〉〈行動が落ち着き危険行動が無くなった〉であった。【考察】術後せん妄患者への看護師の関わりによりせん妄状態が改善されていた。中でも、認知力が改善し、混乱した状態が落ち着き入眠でき、危険行動が無くなるなどの変化がみられた。このことから、看護実践として、術後せん妄の早期離脱のための安楽な看護援助の提供、患者の安全を守る関わり、スタッフや多職種との連携やせん妄状態や痛みの確認などの関わりによりせん妄の改善が図られ、患者に変化をもたらすことが明らかになった。【結論】術後せん妄患者への看護師の関わりによる患者の変化は、理解力が高まりせん妄の改善が図られ、混乱した状態が落ち着き入眠できた、危険行動が無くなった。これらの看護師の関わりは、せん妄の改善が図られ、患者の早期回復につながることが本研究により確認できた。本研究は一病棟の調査であり、今後は研究対象者を広げ、術後せん妄患者への看護師の関わりによる患者の変化について明らかにすることが課題である。