第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター62群 せん妄への対応

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:井上 光子

[ポスター62-4] A病院整形外科手術における術後せん妄の実態調査

佐伯 恵里香, 北川 みづき, 田中 奈那, 上岸 広, 鍛治 佳美 (JCHO金沢病院)

【緒言】整形外科患者の術後せん妄発症率は47%で他の一般外科手術に比べて多いとされている。術後せん妄に関して病棟における術後せん妄やリスク因子についての研究は行われているが、手術室看護師の研究報告は少ない。私たち手術室看護師の介入が術後せん妄の発症予防に貢献できないかと考えた。 【目的】術後せん妄と発症要因との因果関係を明らかにし、手術室看護師の予防的介入の指標とする。【方法】1.対象A病院で202X年4月~9月に整形外科で全身麻酔下の手術を受けた患者64名。2.調査方法調査項目は先行研究を参考に「術後せん妄発症の有無」、発症要因の準備因子では「年齢」「脳器質異常の有無」「認知症の有無」「ステロイド使用の有無」「アルコール依存症の有無」「せん妄既往の有無」「オピオイド使用の有無」「ベンゾジアゼピン系薬剤使用の有無」「術前のADL」、直接因子では「手術時間」「麻酔時間」「緊急手術か否か」「術前・術後Hb値」「出血量」「術前・術後Na値」、誘発因子では「鎮痛剤使用の有無」「ドレーンの有無」「尿道カテーテルの有無」「術後1~4日目のADL」について電子カルテから情報収集した。3.分析方法術後せん妄発症と各発症要因との関連を、t検定とχ二乗検定を用いて分析した。4.倫理的配慮本研究は、A病院の倫理委員会に申請し承認を得た。(承認番号230300)【結果】術後せん妄の発症と「年齢(75歳以上)」「術前のADL」「認知症の有無」「術前・術後Hb値」「術後1~4日目のADL」で有意差が認められた。A病院の整形外科患者の術後せん妄発症率は25%であった。【考察】高齢者は若年者に比べ視力や聴力が低下しやすく、外界からの情報が減少し環境適応能力の衰えも相まって術後せん妄の発症につながったと考える。また、貧血により血中酸化ヘモグロビン量が低下し中枢神経系への酸素供給量が低下することで不穏状態を引き起こしたと考える。A病院では術後早期に尿道カテーテルやドレーンを抜去しリハビリを早期に開始しており、さらに、整形外科では早期に食事や内服が再開し、点滴を抜去できることでルート類が整理され、術後せん妄の発症率低下に繋がったのではないかと考える。今回は術後せん妄の要因についてのみ調査を行ったため、予防的介入についての情報が明らかになっておらず結果に影響を与えたことは否定できない。今後、術後せん妄の予防的介入についても情報収集を行い、術後せん妄の発症予防に努めていきたい。【結論】術後せん妄と発症要因の関連について、準備因子では「年齢(75歳以上)」「認知症の有無」「術前のADL」、直接因子では「術前・術後Hb値」、誘発因子では「術後1~4日目のADL」が影響していることが明らかになった。