第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター63群 新興感染症に対する取り組み

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:坂本 三智代

[ポスター63-5] KOMIケア理論に基づく看護

COVID-19患者の回復過程を支えた看護の一例

房本 美香, 西谷 文恵, 眞鍋 みゆき, 粟生 京子 (阪南中央病院)

【背景】A病院では1998年からKOMIケア理論に基づき看護実践を行っている。20XX年第3波の中、複数の部署から、経験年数も様々な看護師を集結させ感染対策病棟開設することになった。感染対策のため接触が制限された中で行う看護に不安や戸惑いがあった。しかし受け入れ4例目のA氏との関わりが、自分達の看護を見つめるきっかけになった。【目的】通常の環境と異なる状況下においても、KOMIケア理論と5つのものさしを使って回復過程を支える看護がどのように実践できたか考察する。【実践内容・方法】A氏、70歳代、男性、グループホーム入所中、要介護3。基礎疾患に認知症、重度の視聴覚障害。喫煙歴はなし。COVID-19肺炎にて入院し酸素1ℓ投与、ステロイド剤内服治療が開始となった。治療と並行し私達看護師は、患者の生命力の全体像、どこに看護的関与を必要としているかが一目でわかるKOMIレーダーチャートを用いて、生命力を消耗させている事柄ともてる力を整理し、ケア方針を立案し看護実践を行った。十分な感染対策を実施の元、入院時は呼吸状態に注意しながら視覚障害に対する援助を行った。10日目呼吸状態が悪化しネーザルハイフロー装着した。酸素消費量や体力消耗を最小にしながら、患者の食べたい意思、食べる力(嚥下が可能)と動ける力(移乗が可能)に目を向け、食事・排泄・移乗を継続できるよう援助した。ネーザルハイフロー中止時は肺機能の向上を図ること、排泄行動の維持で生活行動が広がるよう援助した。入院37日目、一般病棟転棟時はリハビリを行い入院前と同様の生活が実現できるよう援助した。倫理的配慮としては、事前にご家族に個人が特定されないよう留意し症例報告として発表することに同意を得た。【結果】一時重篤な状態となったが、入院時より呼吸状態は改善し、食事摂取が継続でき日常生活動作の低下もみられなかった。また認知機能の低下もなく入院49日目に元の生活の場へ退院できた。【考察】患者のその時々の状態に必要な看護を、5つの看護のものさしにあてはめながら、持てる力に着目し生命力の消耗を最小にしつつ食事・排泄・活動など生活を整えたことは、患者の回復過程の促進を支えたと考える。また、看護師が看護の目的を共有し患者の生活を最良の状態に整えたことが、回復過程を支えることに繋がったと考える。【実践への示唆】通常の環境と異なる状況下においてもKOMIケア理論と5つの看護のものさしの活用により、看護の目的である患者の回復過程の促進を支えることができる。