第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター64群 こどもと家族の看護②

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:木戸 久美子

[ポスター64-2] 医療的ケア児の在宅療養支援への取り組み

NICU・GCU看護師への学習会の効果

吉村 茄奈, 日高 由紀子, 上甲 亜矢, 米村 幸子 (山口県済生会下関総合病院)

【背景】A病院NICU・GCUでは,医療的ケア児の在宅療養支援の経験が少ないため,看護師の知識不足がある。そのため,在宅療養支援に対する看護師の知識を向上させる必要がある。【目的】医療的ケア児の退院後の生活を見据えた在宅療養支援に対する看護師の知識の向上を目指した学習会の効果を検証する。【実践内容・方法】202X年1月~7月。研究対象はNICU・GCUの看護師15名。山岸らの「在宅の視点のある病棟看護の実践に対する自己評価尺度」を参考に,5因子20項目の質問紙を独自に作成し,学習会前後に質問紙調査を行った。質問紙の内容は,「患者・家族の今後の療養に関する意向の確認」3項目,「ケアのシンプル化」5項目,「地域の医療者との連携」3項目,「退院後の療養環境に合わせた家族指導の実施」4項目,「退院後の生活に関するアセスメント」5項目で,5段階評定尺度(5点:常にしている~1点:全くしていない)とした。更に「法律について」は,知っている,または知らないで回答してもらった。自由記載欄には,学習会前は,在宅療養支援について知りたいこと・困ったこと,学習会後は,学んだこと・今後在宅療養支援に活かせると思ったことを記載してもらった。学習会の内容は講義と事例報告とした。講義は,医療的ケア児等支援者養成研修受講修了者と看護研究メンバーが医療的ケア児等支援者養成研修をもとに行った。事例報告は,同行訪問研修経験者が医療的ケア児への在宅療養支援の2事例について行った。分析方法は,学習会前後で項目別にウィルコクソン符号付順位和検定を用いた。A病院の看護部倫理委員会の承認を得た(承認番号倫1)。対象者には個人を匿名化すること,情報の管理,学術集会で実践報告として発表することを書面で説明し,同意書をもって同意を得た。【結果】「ケアのシンプル化」は3項目,「退院後の療養環境に合わせた家族指導の実施」は1項目,「地域の医療者との連携」と「退院後の生活に関するアセスメント」は全ての項目で学習会後に有意に上昇した(p<0.01,p<0.05)。「法律について」は知らないが15名中11名だった。自由記載は,学習会前は,「他部門との連携が分からない」「地域のサービスが分からない」学習会後は,「支援の流れが理解できた」「在宅のイメージができた」などの意見があった。【考察】学習会の講義は,地域の医療者との連携について理解できたと考える。事例報告は,医療的ケア児が退院した後の生活環境をイメージし,退院後の生活を見据えた支援を行う必要性を理解できたと考える。また,在宅に合わせてケアをシンプルにすること,地域との関わり方を理解でき,学習会後で有意に上昇した。これより,医療的ケア児の在宅療養支援に対する知識の向上に繋がったと考える。【実践への示唆】今後も法律を含めた学習会を定期的に開催し,同行訪問の経験者を増やして,医療的ケア児の在宅療養支援の実践に繋げる。