第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター66群 対象と向き合う看護職の意識③

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:野口 香

[ポスター66-4] A病棟のあるべき姿への取り組み

ライフステージを意識した看護ができる組織

森野 奈穂子, 藤本 集, 向井 日佐子, 西野 万寿子 (市立貝塚病院)

【背景】A病院は一般急性期・緩和ケアを有する自治体病院である。A病棟は婦人科・乳腺外科・小児科の混合病棟で在院日数6.3日、治療が優先され、入退院をくり返す患者の継続的な看護ができていないことが課題であった。「患者・家族を全人的に捉え、小児・女性のライフステージを意識した継続看護が提供できる組織」を部署のあるべき姿と掲げ、現状を把握し業務改善に取り組んだので報告する。【目的】患者個々のライフステージを意識した看護を実践することを目的とする。【実践内容・方法】患者のライフステージを意識した看護を検討するためロジックツリー分析を行った。「治療計画が把握できていない」「個別的な問題が考えられない」「ライフステージを意識した情報収集が出来ていない」「ライフステージの学習機会がない」等の課題が抽出され、看護実践のなかでライフステージが意識できる方法を検討した。女性のライフステージと病期・治療に沿った看護が出来るよう、疾患別に治療ガイドラインと女性のライフステージを合わせて一覧できる表を医師の協力のもと作成した。またライフステージに関係する支援や介入に関して、学習の機会が持てるように担当を割り振り、看護師が多職種と連携して資料集めや学習会を行った。ライフステージや病期を意識したカンファレンスの充実を目指し、作成した一覧表を使用して、多職種カンファレンスを実施。どのような事が予測され、どのような看護が必要か話し合い、看護を実践した。A病院の看護局倫理審査を受け実施した。【結果】・ライフステージ病期一覧表を作成することで、今後起こりうる病態を予測することができた。・一覧表を活用し、必要なタイミングで妊孕性への情報提供を行うなど、女性のライフステージの中で重要な問題への介入ができた。・9件実施。就労支援2件、精神科受診1件、性生活支援1件に繋がった。【考察】多忙な業務の中でも困難を抱える患者や家族を察知し、少しでも関わる工夫をすることが必要1)であり、入院期間の短縮化や業務の煩雑化により、患者・家族と関わる時間が減っている現状の中で、いかに必要な情報を収集し、支援できるかが大切となる。ライフステージと病期を合わせて一覧表にしたことで、患者がどのライフステージと病期にあるかが一目瞭然となり、患者像を把握しやすくなった。日々の患者カンファレンスでくり返し一覧表を使用し共有することで、看護師が現状の病態のみに捉われず、長い治療経過の中の一部分であるという意識づけができる。また、一覧表を使用した多職種カンファレンスを実施することで、その時期に必要な情報や支援、今後必要となる情報が抽出でき、限られた時間で患者の背景を考えた関わりができる。【実践への示唆】一覧表を可視化し、日々のカンファレンスで使用することで習慣化し、女性のライフステージを意識する看護ができる。