[ポスター67-3] 当院外来における在宅療養支援のための取組みの報告
【背景】超高齢社会に向けた医療構造の変化に伴い、外来で行われる治療、処置は高度化してきている。また、入院期間の短縮により、外来での指導や意思決定など何らかのサポートを必要とする患者・家族は多く存在する現状がある。当院でも、入退院支援はシステム化され、早期退院に向けた支援を行う専従看護師は在籍しているが、外来通院患者への在宅療養支援は外来看護師に一任されている現状であった。外来部門として療養支援への取り組みは行ってきたが、看護師個人の力量に左右され、外来看護の質の向上につながっているとは言い難い状況があった。【目的】外来看護師の療養支援スキル向上のための、在宅療養支援に特化した看護師育成の取り組みの報告と今後の課題を明らかにする。倫理的配慮とし、研究対象者の匿名化と情報管理について、また、学術集会で発表することを対象者へ書面で説明し、同意書をもって同意を得た。【実践内容】202X年度より、「在宅療養支援が必要な患者を見出し、タイムリーに看護介入すること」を目標に掲げ、外来看護師約50名の中から7名の適任者の選出を行い、外来における在宅療養支援を中心に担う看護師を〈在宅療養支援看護師〉と名付け、訪問診療部門に在籍している特定看護師が中心となり、在宅療養支援に特化した看護師育成3年計画を立て活動を行った。活動初年度は、介護・医療サービスの仕組みを理解することに重点を置き、地域包括ケアシステムについての学習を中心に事例検討や研修会を毎月行った。翌年は、月に2回看護実践事例のカンファレンスを行い、所属する部署内では、部署内の看護師の療養支援に関する相談、教育の役割を担うようにした。また、在宅療養支援看護師が相談しやすい環境づくりのために、ペアリングシステムの導入を行った。【結果】これまでは、多数の外来受診患者の中から看護介入の対象者を選出し、看護介入することは難易度が高く、介入しても看護の妥当性がわからないといった状況であった。しかし、この2年の取り組みにより、各々の複雑な社会的背景を把握し、タイムリーな看護介入・多職種連携により希望する在宅療養を安心して継続できる支援につなげられるようになってきた。これまで「アドバンスケアプランニングなんて難しすぎる」といっていたA看護師は、率先して外来で行われる告知の場に同席し、意思決定支援に積極的に取り組み、患者本人、家族、地域との懸け橋となる存在になっている。B看護師は「部署内で認知されるようになり、やりがいを感じる」とも話した。【今後への示唆】今後ますます在宅療養支援を要する患者は増加していく中で、外来という限られた時間で必要な情報の収集、アセスメントを行い、看護実践につなげることは、非常に高度な看護実践能力を必要とする。今年3年目となる在宅療養支援看護師の取り組みをシステム構築し、当院外来部門における在宅療養支援の充実につなげたい。