第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター32群 リスクマネジメント②

2022年11月9日(水) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:森田 恵美子

[ポスターM-32-2] 急性期病棟におけるフローチャートを使用した身体拘束開始・解除・緩和時の判断基準統一化の試み

渡邉 里香1, 石垣 恭子2, 金納 暁美1, 大洞 亜樹子1, 小川 かずみ1, 長井 友美1, 須賀崎 香織1 (1.佐世保中央病院, 2.兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

キーワード:身体拘束、フローチャート、身体拘束解除、アンケート

【抄録】
【目的】B 病棟では治療後の安静指示や点滴管理、ドレーン管理のため身体拘束を行うことがある。身体拘束開始・解除・緩和時期を協議するカンファレンスでは消極的な意見が多く判断基準もばらつきがあると感じた。坂口ら1)は「フローチャートは身体行動制限の必要性を客観的に判断できるツールである。」と述べている。B 病棟看護師の判断基準や不安について調査を行い、B 病棟独自のフローチャートを作成し判断基準の統一化を図りたい。【方法】1. 期間 令和3 年4 月から令和3 年12 月 2. 対象者 B 病棟看護師16 名 3. 研究方法A 病院看護部マニュアルを参考にフローチャートを作成した。フローチャート使用前後に身体拘束開始、解除、緩和時の不安の有無についての記述式アンケート16 問、入院患者をイラスト化し最適な拘束方法を選択し、その判断基準を記載する記述式テストを事例A・B の2種類行った。4. 分析方法 アンケート調査に対し2 × 2 分割表の検定、記述式テストに対し対応のあるt 検定を行った。5. 倫理的配慮 対象者には研究目的、本研究の協力の有無をもって不利益は生じないこと、記入は無記名で研究以外には使用しない事を説明し質問調査票の回収をもって同意とした。また、A 病院倫理委員会の承認を得た。【結果】アンケート調査で身体拘束開始、解除時の不安に関する質問はフローチャート使用前後で有意差が認められたが、身体拘束緩和時の不安に関する質問は有意差は認められなかった。記述式テストは事例A、事例Bどちらも有意差が認められた。記述式テストの判断基準もフローチャートと一致した意見が記載されていた。【考察】フローチャートを使用することで身体拘束開始、解除時の不安は軽減できたが、緩和時は不安が残るとの意見が多く聞かれたため、今後もカンファレンスを継続する必要があると考える。記述式テストではフローチャートを使用する事で適切な身体拘束方法が選択され、不要な身体拘束の解除に繋がったのではないかと考える。南堀ら2)は「抑制基準は客観性をもつ統一されたものである必要がある。看護師の経験年数や主観によって抑制実施の決定が左右されてはいけない。」と述べている。今回作成したフローチャートを使用することでB病棟看護師の身体拘束開始・解除・緩和時の判断基準の統一化に近づいたのではないかと考える。