第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演41群 チーム医療

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 口演会場6 (104)

座長:鈴木 美央

[口演M-41-3] 外来で継続的に支援が必要な患者の情報を把握するためのデータマートの活用

中山 めぐみ, 城田 智子, 中谷 安寿, 平尾 幸美, 樫熊 美由紀 (大阪大学医学部附属病院)

キーワード:外来看護、データマート、患者把握、効率化、継続看護

【抄録】
【目的】わが国では、少子高齢化の進行、在宅医療の推進により、病院の外来看護師による継続的な支援の必要性は高まっている。A 大学病院眼科外来では1 日に約250 人の患者が来院しており、看護師は多くの外来患者の中から継続的に支援が必要な患者を把握することは難しい。このため、これまでは、「外来で継続的に支援が必要な患者の氏名や予約日時などの情報」(以下、患者情報とする)を共有の手書きリストに記載し、患者の受診前に電子カルテから「看護師が継続して行うべき支援内容」(以下、支援内容とする)を収集することで支援を行ってきた。今回、患者情報と支援内容を効率的に把握し、看護師間で共有するためにデータマートが活用できたので報告する。【方法】既存の看護記録テンプレート内に、支援内容を記載するための「次回看護上の留意点」の記載欄を新たに作成した。データマートを活用して、記載欄に入力のある患者を抽出し、入力された支援内容を患者情報とともに一覧表示させた。毎日データマートを更新し、一覧表から得た当日予約の患者情報と支援内容を朝のミーティングで共有した。眼科外来において、データマートの活用前後で、患者情報と支援内容の把握状況の変化について振り返った。なお、個人情報漏洩防止のため、データマートは個人情報を持ち出すことができない病院情報システム内で管理した。【結果】データマートを活用することで、看護記録テンプレートを用いて支援内容を記載するだけで、一人ひとりの電子カルテから情報を収集しなくとも、患者情報と支援内容を一覧表で把握できるようになった。当日朝に、来院予定者の一覧表を看護師間で共有することにより、どの看護師が関わることになっても患者や家族の状況変化や問題に気づき、支援を行うことができた。患者の受診前に、患者情報と支援内容を看護師間で共有できた件数は、データマート活用前には1 か月あたり1.2 件であったが、活用開始1 年後には1 か月あたり12.2 件に増加した。【考察】データマートを活用することで、患者情報と支援内容を効率的に把握できるようになり、より多くの患者情報や支援内容を看護師間で共有できるようになったと考えられる。さらに、患者情報を確実に抽出し、適切なタイミングで看護師が支援内容を共有し支援できたことは、外来での継続性・一貫性のある看護の提供につながったのではないかと考える。