第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

Presentation information

ポスター

ポスター11群:身体拘束・行動制限と看護

Fri. Sep 2, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (206)

座長:松本 志保子

[ポスターS-11-2] 長期化している行動制限の最小化を意図して看護師が行う患者への言語的介入

濱尾 千春, 山本 祐子 (駒木野病院)

Keywords:行動制限最小化、言語的介入、看護、精神科看護師

【目的】行動制限が長期化している患者に対して,精神科看護師が行動制限最小化を意図して行う言語的介入の内容を明らかにすること。【方法】本研究は質的帰納的研究であり,管理職を除いた臨床経験 5 年以上,かつ精神科病棟での職務歴 3 年以上の看護師を対象に 1 ~ 2 回の半構造的面接を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した。データ収集期間は 2020 年 10 月から 2021 年 4 月であった。協力者全員に許可を得て IC レコーダーに録音したデータから逐語録を作成し,それらを十分に読み込みカテゴリー化を行った。倫理的配慮として研究者が所属する施設の倫理委員会の承認を得た後に,研究対象者へ研究目的,内容,方法,参加辞退や回答拒否により不利益は生じないこと,匿名性の保持,データは本人の同意なしに使用しないこと等を文章および口頭で説明し,同意を得た。【結果】看護師 5 名に対するインタビューから,〔対話を続ける姿勢の表明〕〔患者の緊張感の緩和〕〔回復を見据えた励まし〕〔自ら歩みを進める力の活性化〕〔許容できない行動の明示〕〔対処行動の促進〕〔行動制限に関連する課題への直面化〕〔行動制限解除に至る道筋の共有〕という 8 つのカテゴリー,27 のサブカテゴリー,125 のコードが抽出された。【考察】行動制限最小化を意図して行う言語的介入として,看護師は患者に対し常に〔対話を続ける姿勢の表明〕を中心に添えながら,その時々の場面や局面に応じた関わりを行っていた。また行動制限下で生じる〔患者の緊張感の緩和〕を試みながらも,見通しの持てない不安を持った患者に対する〔回復を見据えた励まし〕と同時に〔自ら歩みを進める力の活性化〕を図っていた。一方で衝動性の制御が困難な患者に対しては明確に〔許容できない行動の明示〕を行い,症状のコントロールを行えるよう〔対処行動の促進〕に努めており,こうした中で患者自身の〔行動制限に関連する課題への直面化〕も図っていた。また〔行動制限解除に至る道筋の共有〕を通して,患者とともに行動制限解除を目指す看護師の意図的な言語的介入が行われていた。患者を励まし,もともと持つ力を奮起させる一方で症状のコントロールや対処行動を促している本研究の結果は,行動制限最小化に重要な意味を持つと考えられた。さらに,医療チームの中で看護師が言語的介入において独自性を出すことが行動制限最小化に繋がると考えられた。