第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

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ポスター

ポスター7群:健康回復・重症化予防におけるツールの活用

Fri. Sep 2, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (206)

座長:寺島 由美

[ポスターS-7-2] 大腸内視鏡検査前処置を自宅で行う患者に対する電話訪問の効果

山本 早紀, 山口 龍司, 菅田 幸江 (山口県済生会下関総合病院)

Keywords:大腸内視鏡検査、前処置、電話訪問

【目的】A病院は年間約1700件の大腸内視鏡検査を行っている。従来までは前処置である経口腸管洗浄剤の服用や指導,体調管理は院内で行っていた。しかし,新型コロナウイルス感染対策により院内滞在時間の短縮や密集を防ぐため,自宅での服用を勧める方向に転換した。そこで,自宅で前処置を行う患者に対し,内視鏡看護師が電話による看護介入を行い,その効果を検証した。【方法】対象は,同意が得られた自宅での前処置患者59名(65.0±12.6歳)と病院での前処置患者138名(67.6±10.7歳)であった。自宅での前処置選定基準とした対象は,服用に関してリスクがない,ADLや認知機能低下がある場合は家族の協力が得られる,自宅での服用を希望する患者とした。前処置に関する5項目,5段階評定尺度(5=とても適切だった~1=全く適切ではなかった)と電話訪問についての意見を自由記載とした無記名自記式質問紙を独自に作成した。自宅での前処置患者に1時間半おきに電話訪問を行った。検査前に質問紙調査を実施した。分析方法は,病院と自宅の前処置に関する5項目の結果を集計し,マンホイットニーU検定で比較した。「次回の前処置を同じ場所で行いたいか」の質問はχ2検定を用いた。自由記載は,類似性のあるものを関連づけ項目別に分類した。本研究は,所属施設看護部倫理委員会の承認を得て,対象者に研究による不利益が生じないことを説明し同意を得た。【結果】質問紙調査の「自宅または病院での前処置を選択してよかった」「困ったことはなかった」の2項目で自宅の方が有意に高かった(p<0.05)。自由記載では,23件の意見のうち「電話訪問があって安心した」「分かりやすく適切だった」など肯定的な意見が21件,「飲んだことがあるから用があればこちらから連絡する」などの意見が2件であった。次回も同じ場所を希望する患者は自宅,病院ともに有意差はなかった。自宅での前処置患者のうち,前処置不良で検査に支障を来す例はなかった。【考察】質問紙調査の2項目において自宅の方が有意に高かったのは,内視鏡看護師が電話訪問を行うことで,専門的アドバイスができ,安心感に繋がったと考える。自宅での前処置を選択した全例で検査が実施できたことからも,内視鏡看護師による前処置の電話訪問の看護介入は,患者に安心感を与えることについて有効であったと考えられる。