[ポスターS-8-4] ペア制導入後の現状と課題
Keywords:看護体制、新人教育、On the Job Training
【目的】A病院では2020年度4月より日々の看護業務において、看護師2名がペアを組み、安全・安心・効率的に看護ケアを提供する為にペア制を開始した。今回導入後の評価として実施した調査結果を分析し、ペア制の現状と課題を明らかにする。【方法】2019年ペア制基準作成、2020年度より全部署運用開始。部署の取り組みに関する質問紙調査を計2回実施した。1回目の結果を全体へフィードバックし、1年後2回目を実施した。質問紙調査は無記名とし、個人が特定できないように配慮し、回答をもって調査への同意とした。看護部による倫理委員会の承認を得た。結果は前年度との比較のため、Χ二乗検定を行った。【結果】回答率は1回目96.6%、2回目回答率は88.1%であった。スタッフの期待する効果では「スタッフ間の業務補完・協働」「コミュニケーションや相談のしやすさ」で上昇、有意差を認めた。(p<0.05)ペア制の利点については「困ったことに相談しやすい、安心できる」「2人の目で患者を観察するため、インシデントを回避できた」「休憩時間が確保できた」の3項目で有意に上昇有意差(p<0.05)を認めた。ペアの効果が感じられない理由はいずれも「ペアの組み方で看護業務量に差が生じる」「リーダーの采配で業務量に差が生じる」の回答が6割強を占め、有意差はみとめなかった。一方,超過勤務短縮について管理者の期待は有意に(p<0.05)低下した。ペアシップマインドに基く業務の遂行は、「できている」上昇、「できていない」低下と有意差を認めた。【考察】運用に際し一定の基準を設けているものの、調査結果に基づき利点を活かした運用を推進した結果、ペアシップマインドの向上が見られ、ペア制の定着が明らかとなった。利点から、新人を含めた経験の浅いスタッフは、相談できる相手が特定されていることや、受け持ち患者のサポートが受けられ業務遂行における安心の担保となっているといえる。一方、先輩・後輩のペア関係は、指導・教育・フォローの協働関係の役割を担う為、時間を要し、先輩スタッフの業務負担増と業務効率に結び付かないことが明らかとなった。今後は利点を活かし部署の目的に添った活用の継続を推進する。さらにマインドの定着を好材料ととらえ、ペア制を教育のツールとして各部署で確実な看護技術の習得と質の向上目的のOJTに活用したいと考える。