第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 札幌

Presentation information

ポスター

ポスター8群:勤務環境の改善と継続教育

Fri. Sep 2, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (206)

座長:竹之内 卓

[ポスターS-8-5] 看護師のウェルビーイングと医療の質向上を目指す勤務表作成の自動化がもたらす効果の考察

-Effective Medical Creationアプローチとしての取り組み-

増澤 祐子1, 大西 龍貴2, 大西 良佳3, 武澤 恵理子4 (1.東京医療保健大学千葉看護学部, 2.都立墨東病院麻酔科, 3.合同会社ウェルビーイング経営, 4.総合デザイナー協会)

Keywords:勤務計画表、ウェルビーイング、看護の質、医療の質

【目的】看護師の勤務計画表作成には勤務時間や経験年数、看護スタッフからの希望など業務や労務を考慮して作成するため、熟練した病院看護管理者であっても作成に長時間を要することは少なくない。病院看護管理者の勤務計画表作成に要する時間の短縮により、組織管理や看護の質管理などを実践できる時間が増加する。数値最適化の手法を用いて勤務計画表作成を自動化するプログラムを作成したためその結果について報告する。【方法】現実的な配置を模した病棟の仮想配置看護師群の仮想データを用い、ある月の勤務計画表作成に要する時間について、自動化プログラムと研究者の手作業による方法を比較した。勤務計画表作成には、勤務希望、休暇希望、シフトごとの人数、土日出勤の回数の平準化、特定の組み合わせを避ける、年休取得、連勤制限を考慮する項目とした。これらの項目について、自動化プログラムでは条件がすべて満たされるように設定した。自動化プログラムと研究者の手作業による勤務計画表作成を各々3回行い、作成所要時間について両群の差の検定(Welchのt検定)を行った(有意水準は0.05)。本報告は仮想データを利用したシミュレーション研究のため倫理指針の適用範囲外である。【結果】勤務計画表作成の所要時間(範囲)は自動化プログラム群では5-10分であり研究者の手作業群では4-5時間であった。両群の差を比較すると手作業群に比べて自動化プログラム群の方が有意に作成所要時間は短かった(p=0.006)。【考察】自動化するプログラムは手作業に比べて勤務計画表作成の所要時間が短縮することが分かった。しかし、今回は仮想データを用いているため実際の勤務計画表作成における効果については更なる検証が必要である。勤務計画表作成には大変な労力を要し、作成所要時間は平均 8.9 時間、そのうち平均時間外労働時間は3.7時間とされる(中村 2017)。この時間の短縮により、看護管理者の時間外労働時間の短縮やストレス低減、ワークライフバランス改善にもつながり、ウェルビーイングが改善すると考える。さらに、看護管理者が組織管理や看護の質管理を実践できる時間の増加により看護の質の向上につながり、ひいては医療の質向上を目指す快適環境プロジェクトEffective Medical Creationの取り組みの一部として医療安全や医療の質の向上に寄与できると考える。