[ポスターS-9-3] 新型コロナウイルス感染症患者に対応した看護師の心情と勤務を継続できた要因
Keywords:新型コロナウイルス感染症、心情、サポート
【目的】看護師がコロナ病棟における勤務で如何なる心情を抱いていたか,勤務を継続することが出来た要因が何かを明らかにすること。倫理的配慮:所属施設の倫理審査委員会の承認を得て、研究に参加することで対象者に不利益や負担がないよう配慮した。データの管理はパスワードをかけ、厳重に行い、個人が特定されないようにした。【方法】研究デザインは質的記述的研究を用いた。対象者は A 病棟で新型コロナウイルス感染症の看護を経験した看護師 11 名。半構成的面接法を用い逐語録を作成し、サブカテゴリー・カテゴリーを導いた。【結果】看護師の心情に関するカテゴリーとして〈コロナ患者の対応を迫られ動揺する気持ち〉〈未知の感染症への恐怖と不安〉〈経験した事がないコロナ患者看護に対する困難さ〉〈防護服を着て患者に関わることの不自由さ〉〈病院管理部門への落胆〉〈周囲から偏見を持たれていると感じ委縮する気持ち〉〈コロナ禍で蓄積する欲求不満やストレス〉が抽出された。勤務を継続できた要因においては〈感染しないと思えること〉〈病棟スタッフとの良好な人間関係と家族の理解〉〈現状を肯定的に受け止める気持ちの持ち方〉〈心身の負担軽減や手当の支給〉〈気持ちが癒された行動や周囲からの励まし〉が抽出された。【考察】1.コロナ患者の看護:看護師は、十分な心の準備がない状態で未知の感染症と向き合うなか、気づかないうちに心理的に危機的な状況に陥り、強いストレスを抱え勤務を続けていたと考える。患者の看護では、無力感や困難感に向き合うつらい体験をしていた。また、防護服着脱の煩わしさから、患者の安全と自分の安全の狭間で葛藤を感じていたと考える。しかし経験の積み重ねやマニュアルの整備により、感染しないと思えること、つらい気持ちを分かち合えるスタッフの存在、現状を受け入れ肯定的に捉えることでストレスを回避し勤務を継続できたと考える。2.組織や周囲との関係性:当初看護師が管理部門に対し不信感を抱いていたのは、コロナ患者の対応で緊張状態が続き攻撃対象が管理部門に向かったためと考える。また社会的偏見により孤立感を深め、ストレスが蓄積していた状態だった。しかし応援体制の構築などで業務量や心身の負担が軽減されたこと、自ら積極的にストレス対処行動をとっていたこと、一般病棟の患者に寄り添う機会があり気持ちが癒されたことで勤務が継続できたと考える。