[ポスターS-9-4] 未経験の新興感染症患者の急なケアを担当する看護職員に必要な支援に関する研究
-高齢者介護施設より COVID-19 患者の緊急入院を受けた地域包括ケア病棟の看護職員への面接調査-
Keywords:COVID-19、地域包括ケア、看護師支援
【目的】地域包括ケア病棟を有す 120 床の A 病院は、同医療圏の高齢者グループホームで発生した COVID-19 クラスター支援として、病棟内に隔離スペースを設け多くの陽性者を受け入れたが、感染管理認定看護師による感染対策手順及び相談、病院管理者の移送、診療、業務支援等を行い、院内感染を発生させることはなかった。新興感染患者ケアを地域の感染症病床のない小規模病院が担うためにどのような支援が必要かは明らかでない。今回、急遽未経験の COVID-19 患者ケアを担当した看護職員の面接調査を行い、その不安の実態や必要な支援について考察した。【方法】1)研究デザイン:質的研究及び記述的研究、2)研究対象:2021 年 5 月に A 病院で COVID-19 感染患者のケアを担当した看護職員(看護助手を含む)、3)調査内容:職種、経験年数、COVID-19 ワクチン接種歴、感染歴、検査歴、患者担当頻度、利用した個人防護具(PPE)、悩んだこと、助かった支援、あればよかったこと、学んだこと、4)データ収集方法:2022 年 1 月 5 日~31 日に研究者が対面し聞き取り、5)分析方法:質的記述的にカテゴリーに分類し分析、6)倫理的配慮:A 病院に許可を得、研究対象者に文書及び口頭により研究目的、参加の不同意や撤回により不利益を被らないことを説明し自由意志による同意文書を取得し行なった。【結果】受け入れ患者 16 名の感染性期間は 19 日間あった。看護師 8 名、准看護師 2 名、看護助手 4 名と面談した。ワクチン接種 2 回終了者は 11 名、 2 名はケア開始後に接種した。悩みは「自身の感染の不安」「家族へ感染伝播させる不安」「周囲の偏見」「自身の感染対策技術」「隔離エリアでのセルフケア」、助かった支援は「施設の感染対策」「ワクチン」「検査」「PPE」「ユニフォーム」「ゾーニング」「チームワーク」「家族に同業者や理解」、不足したのは「重症者モニター」「患者観察モニター」「濃縮酸素」「時間差の給食システム」、学びは「感染症患者ケア体験」「感染対策の基本は同じ」「ワクチンの重要性」であった。【考察】感染症ケアには感染対策の知識、技術、PPE、社会的意義の認識に加え、家族や同僚、組織からのサポートが望まれると言われる。地域の小規模病院であってもこれらサポートや感染管理認定看護師による相談体制が整えば、急な受け入れにも対応可能であると考えられる。