[口演S-2-3] 病棟から手術室へ配置転換となった看護師の指導と支援についての検討
Keywords:手術室看護師、クリニカルラダー、目標設定
【目的】病棟から手術室へ配置転換となった看護師の指導と支援に向けて、これまでに配置転換で手術室に勤務した看護師の心理的状況、適応過程及び指導の問題点などを質問紙調査・分析する。【方法】1. 対象者:病棟から手術室に配置転換となり手術室に勤務した看護師 14 名 2. 調査期間:2020 年 8 月~ 2021 年 1 月 3. データ収集方法:質問紙法 4. 質問紙内容:対象者の属性、配属となった時の心理状態や勤務中に抱いた困難や今後必要な支援の方法等選択式回答と自由記述式回答の組み合わせ 5. 分析方法:選択式は単純集計 自由記述式はベレルソンの内容分析の手法を用い、カテゴリーに分類した。6. 倫理的配慮:調査は倫理委員会の承認を得たのちに実施した。【結果】病棟から手術室への配置転換となった看護師の 93% が配属前から不安やストレスを感じていた。配属後 1 ~ 2 ヵ月後、対象者の 57% は挫折感があったと回答し、半数以上が達成感を感じることが難しい状況下にあったと推測される。指導方法について対象者の 64% はマニュアルがなかったと回答した。病棟から配置転換となった看護師が、業務に適応しやすくするための指導として何が必要であるかという質問には[評価基準・達成目標の設定と評価][サポート体制の構築・整備]が 26.1% で最も多かった。モチベーション維持のための精神的サポートとして求められることは[サポート体制の構築・整備]が 29.1% で最も多く、次いで[充実感や達成感をもてるようにする]が 25% であった。【考察】A 病院の調査結果から、手術室での指導方法についての問題点として①指導におけるマニュアルがなく、教え方にばらつきがあった②フィードバックがなかったことなどが挙げられ、指導における指標や評価が必要であったことが明確となった。日本手術学会が手術室看護師のために発出しているクリニカルラダーを導入し、看護実践能力や指標とする行動目標設定の必要性のみならずその実践能力を評価していくことで、自己研鑽やモチベーションの維持・向上にもつながる支援になると考える。今後は、手術室に配置転換となった看護師が業務に適応していく過程において、①マニュアル等を整備し、指導方法を統一する②クリニカルラダーを適切に運用し、指標に沿った指導や実践能力の評価を行い、それらをフィードバックしていくことが重要である。