[口演S-4-3] 精神科看護師の排便確認に関する困難感と工夫の実際
Keywords:排便確認、精神科看護師、排便確認の工夫
【目的】精神科看護師らの排便確認に関する困難感や工夫を調査、集約し今後の排便ケアにいかす糸口を見つける。【方法】 A 精神科病院全看護職員を対象とし排便ケアのアンケートを実施した。「排便の有無を確認するための工夫」などの質問に自由回答してもらった。質的分析ではデータを丁寧に読み込みラベリングしコード化した。そして類似点・相違点を比較しサブカテゴリ化した。さらに同じ概念を持つかたまりをカテゴリーとした。本研究は岡山県精神科医療センターの倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】アンケート回収率は看護職員 216 名中 131 人であった。排便の有無を患者自身で把握することが困難な患者ケアを経験したことがあるかの問いには「ある」と答えたのが 115 人、「ない」16 人であった。また排便の有無を確認するために実際に工夫した内容として<排便を確認する><腹部の諸症状から排泄の有無をアセスメントする><継続した排便セルフケアができるよう患者指導の実施><排便の記憶が明確なうちにタイミングを変えて確認する工夫><医師と協議し、検査を実施して体への影響を評価する>の 5 つのカテゴリーと『排便を確認するために排泄の環境を工夫する』『排便があったことを意味する情報からアセスメントする』『腹部のフィジカルアセスメント』『継続した排便セルフケアができるよう患者指導の実施』『排便の記憶が明確なうちにタイミングを変えて確認する工夫』『医師と協議し、検査を実施して体への影響を評価する』の 7 つのサブカテゴリ、16 のコード化と 201 のコードが抽出された。<排便を確認する>ために[トイレの止水を実施する]、または[ポータブルトイレを利用する]、[おしめの着用]をして排便を直接確認する方法が最も多かった。なおカテゴリーは<>、サブカテゴリーは『』、コードは[]と表記した。【考察】精神科看護師は排便の有無が不明確な患者に対しては問診や触診・聴診などのフィジカルアセスメントを実施したり患者指導を行ったりしながら便秘による生命の危機を防いでいた。しかし一方でトイレの止水やポータブルトイレの利用など排便の実際の確認を選択せざるを得ない場面も多くあることが分かった。それらの方法は排便後に看護師の介助が必要となり、ケアの受け手としては QOL は低下し羞恥心や精神的な苦痛を抱きやすい方法となるため今後の課題として示唆された。