[口演S-5-3] 専門的治療を継続する患者への在宅療養移行支援
-急性期病院訪問看護室と地域との連携-
Keywords:在宅療養移行支援、急性期病院、訪問看護室
【目的】高度医療の進展により急性期病院では、医療ニーズが高く専門的治療を継続しながら地域で生活する患者が増加している。そのため、退院直後や医療依存度の高い患者が円滑に在宅療養に移行できるためには、地域とのシームレスな連携が必要である。本研究は、地域側が在宅療養移行支援において重視しているケアと連携時の要望を明らかにし、急性期病院と地域の連携のあり方を検討することを目的とする。【方法】A 病院では地域連携の推進と専門的な治療を受けながら通院している患者の支援を目的に訪問看護室を併設している。訪問看護室と連携実績のある居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、地域包括支援センターを対象(計 64か所)とし、2022 年 1 月に無記名自記式質問紙による調査を行った。調査内容は、施設属性、連携方法、施設側が重要視しているケア内容、連携時の要望とした。自由記載のデータについては、意味内容を類別し分析した。本研究は A 病院の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】質問紙の回収は 19(回収率 30%)であった。施設属性は訪問看護ステーション 9 か所、居宅介護支援事業所 8 か所、地域包括支援センター 2 か所であった。利用者の情報共有回数は、1 回が 6か所、2 回が 2 か所、3 回以上 11 か所など(複数回答)であり、利用者の情報共有方法は、電話 13 か所、サマリーなどの文書 12 か所、同行訪問 12 か所などであった(複数回答)。地域側が重要視しているケアは、療養生活を共に行う家族に対する「介護者のニーズや健康状態を理解した関わり」や「利用者の医療処置の手技獲得」、患者の病態変化に伴う「バックベットの調整」など急変時に対応できる連絡調整づくりであった。地域からの要望は「利用者の訪問看護に対する理解の促進」、「在宅療養導入への不安対応」や「状況変化時の細やかな連絡」であった。また、「早めの情報提供に対する感謝」、「新規利用者の紹介」もみられた。【考察】利用者の情報共有は、複数の回数や方法を組み合わせて行われていた。このことは、急性期で病状が変化しやすい患者の理解を促進する機会となりスムーズな在宅移行に繋がっていたと考える。一方で医療ニーズの高い状態で地域に戻る患者の場合、身体的・精神的に変化がおこりやすい。そのため、常に連絡をとりながら共に対応していくことが求められる。