[口演S-5-4] 外来通院高齢者における身体的フレイルに関する実態調査
Keywords:フレイル、後期高齢者、介護予防
【目的】外来通院高齢者の身体的フレイルに関する実態を明らかにすることで、フレイル該当者への効果的な早期介入が行えるシステムを構築するための示唆を得ることを目的とする。【方法】対象者は A 病院外来定期通院されている 75 歳以上の高齢者 454 名(男性 189 名、女性 265 名)とし、調査期間は 2019 年 1 月から 2021 年 3 月とした。調査内容は性別、年齢、要介護、測定回数とし、身体的フレイルの評価は日本版 J-CHS 基準を用いて、体重減少、疲労感、歩行速度、身体活動、握力とした。更に介入状況(介入なし、リハビリ指導など)と疾患を問うた。分析方法は性別の 2 群に分け、単純集計と差の検定を行った。更に属性とフレイルの関係は spearman の順位相関係数を用いた。なお、有意水準は 5%とした。倫理的配慮:本研究は A 病院倫理審査委員会の許可を得た上で進めた。すでに取得された情報を利用するため本研究内容に関してオプトアウト(研究に関する情報を公開し、更に拒否の機会を保証すること)を行い、A 病院外来へ及びホームページを用い広報した。【結果】性別の 2 群によると要介護では差がみられ、自立は男性 156 名(82.50%)、女性 202 名(76.20%)であり差があった。1 回目の身体的フレイルの状況としては、男性 46 名(24.33%)と女性 70 名(26.41%)はフレイル(3 点以上)に該当していた。介入がされている男性は 35 名(18.52%)、女性は 63 名(23.78%)であり、フレイルであってもリハビリなどの介入がされていないことが明らかになった。また、年齢と 1 回目の身体的フレイル点数(r=.316、p<.01)、年齢と歩行速度(r=.318、 p<.01)、年齢と握力(r=.345、p<.01)には相関関係がみられた。要介護と 1 回目の身体的フレイル点数(r=.402、p<.01)、要介護と歩行速度(r=.373,p<.01)、要介護と握力(r=.345、 p<.01)には相関関係がみられた。【考察】年齢や要介護が高まるとフレイルの状態になることが多いことが明らかになった。早期介入に繋げるうえで、医療機関においてフレイルの評価を行う意義は大きく、定期的にフレイル評価を行うことで対象者の身体変化を早期に発見することができると考える。