[口演S-7-3] 二次救急医療機関で看護師によるホットライン対応におけるアンダートリアージ減少に向けての取り組み
-「症状別アセスメント冊子」を導入して-
Keywords:二次救急、ホットライン、アンダートリアージ、症状別アセスメント冊子、看護師
【目的】二次救急医療機関である A 病院は、外来と手術室の看護師がホットライン対応を行っている。その際、緊急度を判断する情報収集に差がみられ、アンダートリアージ(Under Triage、以下 UT)になることがある。そこで、情報収集とアセスメントが行える「症状別アセスメント冊子」(以下、冊子)を作成した。ホットライン対応時に冊子を導入し、その前後で UT が減少したかを明らかにすることを目的とした。【方法】冊子は、JTAS2017、「緊急度判定に活かす院内トリアージのためのフィジカルアセスメント」および救急看護認定看護師(CN)の助言を基に作成した。また、2019 年度 A 病院に救急搬送された患者の主訴で多かった症状 8 項目別に聴取すべき事項を記載した。情報収集用紙に記載してあるトリアージ区分と、救急外来到着時の診療録から CN が判断したトリアージ区分を比較し、UT の有無を調査した。冊子導入前後で、看護師 20 名の属性(所属、看護師・救急外来経験年数、INARS 受講・研修会参加・自己学習の有無)の違いおよび症状による差がないかをχ2 検定を行ない、5%未満を有意差ありとした。対象者に文書で説明し同意を得た。また、対象施設において倫理委員会の承認を得た。【結果】冊子導入前の看護師の属性の違いによる差は、全ての項目において有意差は認めなかった。冊子導入前後の比較において、導入後に UT が有意に減少した。看護師の属性毎の前後比較でも、全ての属性で導入後に UT が有意に減少した。症状別の前後比較をしたところ、腹痛、疼痛、体温の異常の項目で導入後に UT が減少した。【考察】先行研究では、UT の発生要因として、緊急度分類表が活用されていない、バイタルサイン(以下 VS)の逸脱、緊急度を判定するための情報不足の 3 点をあげている。今回、情報収集とアセスメントを行える冊子を作成し、緊急度分類表についても説明した。冊子に沿って情報収集を行うことで、VS の逸脱が減少し、緊急度を判定するための情報不足を防ぐことができたと考える。また、UT に看護師の属性による影響があると考えていたが、全ての属性において導入後に有意に減少しており、冊子導入がどの属性にも判断の助けとなったことが示唆された。症状別では、「疼痛」の程度をスケールとして記載することで、緊急度の判定に疼痛の程度が必要だと意識でき、UT の減少に繋がったと考える。