第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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口演

口演11群 看護職間・他職種との協働①

Wed. Nov 8, 2023 2:30 PM - 3:30 PM 第8会場 (G314+G315)

座長:津島 準子

[口演Y-11-4] 看護師と看護補助者間のタスク・シフト/シェアに向けた取り組み

内田 真帆, 菊池 美穂 (日立総合病院)

Keywords:看護補助者、タスク・シフト、タスク・シェア、業務改善、業務委譲

【目的】看護師と看護補助者間のタスク・シフト/シェアとして、看護ケアマニュアルを作成し、看護補助者へ看護ケア介入を導入することで、看護ケアの充実と看護師の業務負担の軽減を目的とした。「看護ケア」とは専門的判断を要しない療養生活上の世話とする。【方法】期間は2022 年8 ~ 12 月、対象はA 病院B 病棟看護師23 名、看護補助者5 名。事前に看護師へ看護ケアに関するアンケート(満足感・負担感、看護補助者の介入による不安10 項目)と業務量調査、看護補助者へ実践能力評価(清潔ケア6 項目、排泄ケア1 項目)と看護ケア導入に関するヒアリングを実施。看護師・看護補助者用の看護ケアマニュアルを作成・説明し、看護補助者による看護ケアを2ヶ月導入した。事後に看護師へアンケート(事前の4 項目削除、導入の効果8 項目追加)と業務量調査、看護補助者へ実践能力評価と看護補助者業務への支障の有無をヒアリング。看護ケア導入前後2か月の看護補助者の残業時間調査を実施。アンケートはウィルコクソン順位和検定(p < 0.05)で分析。業務量調査や実践能力評価、残業時間調査、ヒアリング結果は単純集計し比較分析した。倫理的配慮:対象者に研究の趣旨、方法、自由意思での参加、不利益の回避、個人情報の保護について説明し同意を得た。【結果】事前・事後アンケート回収率100%。95%の看護師が看護ケアマニュアルを活用し、看護ケアを依頼した。看護ケアが充実したと91%が回答し、満足度において「非常に満足」「やや満足」の割合が増加し、「やや不満」「非常に不満」の割合が減少し有意差を認めた。負担感において「非常にある」「ややある」の割合が減少し、「あまりない」の割合が増加し有意差を認めた。業務量調査の回収率は事前100%、事後78%。看護師による看護ケアの平均時間は1 日あたり64 分減少した。看護補助者の月平均残業時間は事前188 分、事後178 分であり、全員が業務に支障はなかったと回答した。実践能力評価の自立項目は0%から89%に増加した。【考察】看護ケアマニュアルが活用され看護ケアは促進された。看護師の看護ケアの時間と負担感は減少し、満足度は向上した。一方、看護補助者の業務への支障や残業時間は発生せず、実践能力の向上に繋がった。看護師と看護補助者間のタスク・シフト/シェアにより、看護ケアの充実と看護師の業務負担の軽減が出来たと考える。