[ポスターY-4-4] キネステティクスⓇベーシックコース教育プログラムが看護師の腰痛に及ぼす効果
キーワード:キネステティクスⓇ、看護技術、腰痛予防、持ち上げない
【目的】看護職の腰痛は長年の課題である。看護師がキネステティクスⓇベーシックコース教育プログラムを受講することで持ち上げない援助の実施及び腰痛軽減につながるかを明らかにする。プログラムは概念を体験学習するベーシック、次いで臨床事例に概念を活用するアドバンスの2段階であり、各コース18時間の受講が必須である。【方法】ベーシックのコース前と終了1ケ月後に質問紙調査を行った。調査内容は基本属性・腰痛経験等と移動・体位変換の5項目a.ベッド⇔ストレチャーへの移動、b.端坐位⇔立位への移動、c.仰臥位での上方移動、d.仰臥位での側方移動、e.仰臥位⇔端坐位への移動(A⇔BはA→B、A←B両方を示す)について、1.「持ち上げ頻度」6段階(全くしない1~常にする6)、2.「腰痛発生頻度」6段階(全くない1~常にある6)の選択肢とした。「持ち上げ頻度」は項目毎に単純集計、「腰痛発生頻度」は個別に前後比較した。対象者はA県内医療施設に依頼文等をメール配信し公募した。対象者に研究の目的・方法、同意・撤回、個人情報の保護、学会発表等を文書で説明、同意書を提出してもらった。【結果】対象看護師6名、年齢20~50代、経験年数3~30年、全員が腰痛経験者(現在腰痛有3名)であった。「持ち上げ頻度」が高かったのは、a.が2/6(6人中2人)、b.c.d.が5/6、e.が3/6であった。「腰痛発生頻度」の前後比較は、a.増加2名、減少1名、変化なし3名、b.増加1名、減少3名、変化なし2名、c.増加1名、減少1名、変化なし4名、d.増加・減少・変化なし各2名、e.増加1名、減少3名、変化なし2名で明らかな効果はなかった。自由記載に「患者のできる力を最大限活用するために説明を意識するようになった」「持ち上げないように意識するようになった」等、看護師の意識変化がみられた。【考察】移動・体位変換5項目は「持ち上げ頻度」が高い援助技術であり、臨床での人を持ち上げる援助の現状が示唆される。看護師の「腰痛発生頻度」の明らかな減少にはつながらなかった。ベーシックは私(看護師)に焦点をあて概念を体験学習するため、臨床の医学的状況が異なる患者への実践にはつながらなかったと考える。しかし、患者の力を引き出す説明や患者を持ち上げない等、看護師の意識には変化を及ぼしている。今後、アドバンス受講者を対象に検証していきたい。