第62回日本油化学会年会

Special Program

受賞講演

令和5年度 学会賞等の受賞講演

油化学または油化学工業の分野で顕著な功績をあげた研究成果に、当学会で最も権威のある「学会賞」を毎年授与して研究を奨励しています。そして油化学工業における顕著な技術には「工業技術賞」を、また若手の優秀な研究成果には「進歩賞」を授与しています。表彰式は、4月の総会の場で行いました。

2024年9月4日(水) 13:30 〜 17:00 S会場 (4号館2F)

座長:岡野 知道(日本油化学会会長・ライオン㈱取締役)

13:30 〜 14:00

[AL01] <進歩賞>

水産油脂の食品機能および未利用水産資源の有効利用に関する研究

*細見 亮太1 (1. 関西大学化学生命工学部)

<選考委員会評>
水産油脂の加工法を開拓して未だ機能が明確にされていないグリセロリン脂質の有効性を明らかにし、食品科学および栄養学の分野に大きな進歩をもたらす可能性を示したので進歩賞を授与することとしました。ホタテガイ内臓から有効成分を抽出する方法は、食品規格を満たすパイロットプラントで成功しており、実用化が期待されます。

14:00 〜 14:30

[AL02] <進歩賞>

天然物由来酵素を用いた共役脂肪酸合成法の確立と難治性がん克服に向けた新規治療戦略の開発

*本間 太郎1 (1. 帝京大学薬学部)

<選考委員会評>
天然物由来酵素を用いた共役脂肪酸合成法を確立し、難治性がん克服に向けた可能性を提案した成果に進歩賞を授与することとしました。本間氏が見出した共役脂肪酸の合成法は、難治性がん克服作用のある成分を大量生産できる可能性をもち、広範な医療分野の進展に貢献することが期待できます。

14:30 〜 15:00

[AL03] <工業技術賞>

化粧品・化粧品原料のためのバイオミメティック触覚センシングシステムの開発

*野々村 美宗1 (1. 山形大学)

<選考委員会評>
ヒトの感覚に依存していた化粧品の塗り心地やテクスチャー評価を定量化し、化粧品製剤の評価を可能としました。そして本成果は、界面科学に裏打ちされた緻密なモデルから成り立っており、その評価結果の妥当性は種々製剤系で確認されていることから、工業技術賞の授与にふさわしいと判断しました。

15:00 〜 16:00

[AL04] <学会賞>

水産脂溶性成分の有効利用を目指した分子栄養学的研究

*細川 雅史1 (1. 北海道大学)

<選考委員会評>
褐藻類由来のフコキサンチンの非感染性疾患予防機能に着目し、その生体内代謝を明らかにして慢性炎症を抑制するメカニズムを突きとめた本成果に学会賞を授与することにしました。細川氏はこの他にも、海洋性カロテノイドの有効性、さらにはEPAやDHA、DPAn-3といった水産物に特徴的に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸の機能を、生体内代謝の面から明らかにして、食品機能の有効性確保に役立つ成果を見出しました。

16:00 〜 17:00

[AL05] <学会賞>

放射光X線回折法による油脂結晶構造の解明および産業利用のための基礎物性研究

*上野 聡1 (1. 広島大学大学院)

<選考委員会評>
食用油脂における油脂の結晶化やゲル化を伴う界面変化を把握することに世界に先駆けて成功した本研究成果に学会賞を授与することとしました。上野氏は、本解析によって、従来の平均場の観察では得られない局所の微細構造変化を捉えることに成功して、乳化製品の安定性等を考える上で重要な知見を発表しました。
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